日本思想に独自の位置を占める異質な三人の巨人たち。彼らの思想を媒介する「大地の文学」性とは。

西欧的な合理主義を乗り越え、世界の側から自己の存在を捉える共苦の思想を解明する。

[序論] 大地の文学・大地の思想― 私の宮沢賢治論

[第一部] 大地の詩
イーハトーヴ・詩と哲学の根源/啄木と賢治の軌跡/『遠野物語』考/東北の風土と高村光太郎

[第二部] 日本的霊性とキリスト教
鈴木大拙と日本的霊性/ドストエフスキーとニーチェ― 精神の逆対応/日本の神学を求めて― 大地の思想家達との出会い

[第三部] 現代日本における
キリスト教の問題/吉満義彦と遠藤周作をめぐって/出会いの世紀へ― 仏教とキリスト教




小野寺 功 (おのでら・いさお)
上智大学大学院哲学研究科修了。清泉女子大学名誉教授。著書『絶対無と神 京都学派の哲学』『大地の哲学』『大地の神学―聖霊論』、『キリスト教は仏教に何を学べるか』(共著)。


 

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小野寺功


2001年6月

ISBN
4921146314

定価
(2800円+税)

四六版上製
316頁




ブンブン腕振り回しムズカシイことを論じる小野寺先生。
哲学者然とした風貌。
先生との仕事はいつも楽しい。(内)




河北新報(2001/08/20)

東北の思想性追究

 清泉女子大学名誉教授小野寺功さんが、作家宮沢賢治と、哲学者西田幾多郎、思想家鈴木大拙の三人に共通する思想性を中心に書きつづった評論「賢治・幾多郎・大拙――大地の文学」を出版した。

 本書は、東北出身の著者のライフワークである、東北の精神風土を反映した「大地の哲学」「大地の神学」に続く作品で、哲学的エッセーと位置づけている。すでに発表してきた文章に、序論として「大地の文学・大地の思想――私の宮沢賢治論」を加え、「大地の詩」「日本的霊性とキリスト教」「現代日本におけるキリスト教の問題」と題し、三部構成でつづっている。

 著者は、東北の大地に内在する「聖なるものへのあこがれ」を、賢治の精神風土を通して掘り下げ、賢治の全体像を「大地の文学」ととらえる。そして、鈴木の「日本的霊性」が、西田の「場所的論理と宗教的世界観」に大きな影響を与えていることに注目し、それらの思想の根底には、「大地の文学」がある、と確信し、三人の思考的つながりを展開している。

 三人を中心に論じた評論は、同時に、東北の思想性をも論じた内容である。

(C)春風社 / Shumpusha Publishing