楽園ではないハワイ
先住民の娘から/白人よ、「われわれ」とは誰のこと?/愛らしいフラ・ガールの手
「白人大学」のハワイ先住民
ハワイ大学における人種差別/人種差別主義と学問の自由/先住民学生の連帯
先住民から見たハワイの歴史
ハワイ王朝転覆の真相
権を求めて
先住ハワイ民族と人権/太平洋諸島の政治/新しい世界秩序
地にしがみつけ
ハワイ先住民のナショナリズム/女性の力と主権回復運動/新植民地主義と先住民族

観光客よ、
ハワイにはもう来るな!

ハワイ先住民の怒りは、深く激しい。先住民の破滅に手を貸し、「文化の売春」を強要しているのは、観光客だからだ。ハワイを侵略して幻想の楽園に仕立て上げたアメリカと、それに悪ノリしている日本人の罪は重い。
(ジャーナリスト・本多勝一)


 日本図書館協会選定図書








 

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H.K.トラスク
松原好次訳


2002年7月

ISBN
4921146500

定価
(2800円+税)

四六判



トラスク教授に原書の構成変更を願い出たが、最初は断られる。再度、日本語版編集意図をメールして、快諾。トラスク教授も絶賛の装丁は、矢萩多聞さん。(山)




ハワイの主権回復を訴える
(中日・東京新聞2002年9月1日)
 著者は、ハワイ先住民運動の指導者として知られている。本書の冒頭には、日本の読者に向けて、次のメッセージが掲げられている。日本人観光客によってハワイの環境も文化も急速に破壊されている。もう一つはアメリカの軍事的植民地になっている―と。ハワイを幻想の楽園に仕立て上げたアメリカと、それに手を貸す日本を厳しく告発する書物。


ハワイの主権回復を訴える
(北海道新聞2002年9月1日)
 ハワイがアメリカに併合されてほぼ100年。観光産業と軍事基地は、伝統文化を商品化し、先住民をスラムに押し込んだ。先住民の女性が、環境汚染や貧困、人種差別、搾取構造など現状を分析。「地上の楽園」の実像を明らかにするとともに、ハワイでの植民地主義について問題を提起した。日本批判も厳しい論考集。


ハワイの主権回復を訴える

(産経新聞2002年8月24日)
 ハワイに押し寄せる観光客を土着のポリネシア系先住民族がどのように観ているか。「観光客には来ていただきたくない。必要でもないし、うんざりしているのだ」と辛辣(しんらつ)に批判する人物の一人が、本書の著者、ハウナニ・トラスクである。ハワイ先住民族を代表する女性の知識人として、先鋭的な民族主義者として、トラスクは、アメリカによるハワイ併合を植民地主義的侵略と指弾し、フラなどの伝統文化が観光客の猥雑な嗜好に合わせて変容させられていく過程を「文化の買春」として非難し、従来の考古学者や人類学者の先住民研究を、学問を装いながら白人支配に都合のよい「未開人」像を捏造(ねつぞう)する人種差別主義だと論難する。

 奪われた土地と主権の回復を要求するトラスクの主張の政治的着地点は、強い自決権をもつ国家内国家あるいは主権国家の確立となろう。このような主張は、「アメリカのハワイ」以外知らない日本人には唐突に響くかも知れない。しかし、トラスクたちが指導するカ・ラーフイ・ハワイイは、二万人以上を組織する先住民最有力の政治団体であり、現地ではその主張を支持する者は多い。

 トラスクは、たんに政治的主権の回復だけでなく、その過程を通して先住民族自身のアイデンティティーをも併せて確立する必要があると説く。それは、「アロハ・アイナ」(大地を愛せよ)の精神にもとづき、具体的には、ハワイ語の復興と公用語化、伝統文化や伝統宗教の再興などである。そして、先住民族たちは、近年、これらの課題の達成にもめざましい成果をあげてきた。

 八〇年代以降、活発化したハワイアン・ルネッサンスと呼ばれる先住民族文化の復興運動は、トラスクらの活動に代表されるように政治的要求へと発展し、ハワイの社会経済を揺るがしかねない大きな火種となりつつある。

 ハワイといえば、能天気な「楽園」イメージしか持たない日本人も、認識の速やかな転換が迫られている。(関西学院大教授・山中速人)


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