米国「開発専門家」が、ネパールの牝牛と米国の牡牛を掛け合わせ、乳の生産量を上げようとするも、牡牛は関わろうとしない。ブラックジョークの意味するところは?鮮烈なネパール現代史

ネパールのこんぐらかった現実を、山本さんは分析するより先にまるごと生きる。
ひとりの社会学者として、また母親として、女として、ときには野次馬として。
(詩人・谷川俊太郎)






 

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山本 真弓


2002年11月

ISBN
4921146608

定価
(2200円+税)

四六判
290頁



 谷川俊太郎さんが春風社を気に入ってくれ、多聞君の装丁のもと、こんな素敵な本が出来ました。小説よりも面白い奇奇怪怪なネパール現代史。(三)





週刊読書人
(200年2月28日)
 山口大学から2年間、ネパールの日本大使館へ専門調査官として赴任した社会学者としての著者が、情報の少ない、ネパールの事情や文化をくわしく報告。


神奈川新聞
(2002年12月30日)
 一九九五年から九七年まで二年間、山口大学を離れて、ネパール・カトマンズの日本大使館に専門調査官として勤務した著者が、そこでの調査内容をまとめたのが本書(春風社=横浜市西区=発行)である。

 表題の牡牛(おうし)は、ネパールに伝わるアメリカ人の「開発専門家」や「アドバイザー」と呼ばれる人々を皮肉ったブラックユーモアで、援助がらみでネパールに連れてこられたアメリカの牡牛の話だ。

 開発専門家は、小柄で乳の生産量が少ないネパールの牝牛(めうし)にアメリカの牡牛を掛け合わせて、生産量を上げようと思いついて牡牛を連れてきたが、アメリカの牡牛は、交尾する気など毛頭なく草を食べている。牛と話ができる村の男がアメリカの牡牛に理由を聞いてみると「おれはアドバイスをするために来たので、そこの牝牛を交わるために来たのではない」と答えた。

 九五年、バグマティ河の橋の手前に日本の援助で作られた日本式信号システムが完成した。複雑極まりない交差点に気恥ずかしいくらいそれとわかる<日本の風景>を目撃した著者は、これもアメリカの牡牛の話と同じではないかと思う。

 ほかにも複雑なネパールの現代史を読み解くスリリングな物語十数編を収める。

(C)春風社 / Shumpusha Publishing