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<夜の窓には鬼が棲む>
「茨城智雄」「果心居士」「画美人」…
あの澁澤龍彦や小泉八雲も底本にした怪談奇談本、初の現代語訳成る!
原著に収められた33葉の挿絵もすべて収録、奇妙奇天烈摩訶不思議な物語世界を あますところなく再現!
原著は明治22年、東陽堂より刊行。
日本図書館協会選定図書


石川鴻斎(いしかわ・こうさい)
1833年、三河国豊橋の商家に生まれる。詩文家・漢学者にして南宋画家。本名英。字は君華。通称英助。
藩の儒学者・西岡翠園や太田晴軒に師事。18歳で郷里を出、各地を遍歴。1858年、帰郷して私塾を開き経史を講じる。その後横浜に転居、清の公使館に親しく出入りする。優れた詩文家として名高く、南画にも秀でた。
編著書に 『日本外史纂論』『芝山一笑』『画法詳論』など。他に、漢文で記された『夜窓鬼談』、和文による怪談『花神譚』などがある。
1918年没。
小倉斉(おぐら・ひとし)
1951年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。愛知淑徳大学教員。日本近代文学専攻。
高柴慎治(たかしば・しんじ)
1949年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。静岡県立大学教授。日本近代文学専攻。
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訳者の小倉先生と高柴先生は言葉に対する意識が超鋭敏! 校正校閲をしていてこんなに緊張したのははじめてです。一文字たりとも気が抜けない。文字通り胃の痛みを堪えながらの編集作業となりました。
原著の雰囲気を可能な限り再現しようと、挿絵撮影のために、カメラマンの橋本照嵩さんとともに磐田市立図書館へ。9時間にも及ぶ撮影の甲斐あって、原著に比べても遜色ない出来! すばらしい!
絶対におもしろいので、ぜひ買ってください。(田顔)
<訳者・小倉斉先生からのメール>
『夜窓鬼談』五冊拝受。早速のお心遣いに感謝申し上げます。
軽過ぎず、かといって重厚過ぎもせず、おしゃれで素敵な仕上がりに、感激。挿絵の出来栄えも予想以上に素晴らしく、紙質、活字、レイアウト、もちろん装丁も、グッドな出来栄えです。あらためて、編集の努力、御苦勞のたまものと、感謝、感謝です。
電便打ってる途中に、まひる埜の歌人で、同僚・親友の島田修三入室。早速献呈。素晴らしい出来じゃあないの、と褒めてくれました。年々校務が忙しくなる中、『夜窓鬼談』と挌鬪するこの十年間の小生の苦労を見知ってくれている男に最初の一冊を献呈でき、さらに心から祝ってくれたのは、喜ぶべきことでした。島田修三がいうことには、この類の書物は、研究者よりも、H・R、S・N、H・I、K・T、N・K、S・K、I・M、Y・T、H・S、……といった「江戸から東京へ」をテーマに、実作・評論活動を展開している人逹に献呈すべきだ、そうです。確かに沿うかも知れない、と思いました。高柴氏に一度伝えてみようと思います。お礼をと思いつつ、感激の餘り長々と記しました。
では、また。


朝日新聞・名古屋版
(2004.02.20)
「<影>の物語」と背表紙に記したファイルを、いつも持ち歩いている。近代日本の推理小説や怪談に出会うたび、題名や内容を書き留めておくためだ。森鴎外や夏目漱石といった「光」に隠れがちな存在というニュアンスという。自身、鴎外の研究者。「当時は『影』の方が読まれていたかもしれないのに、忘れ去られるのは惜しい」と、15年来続ける。
昨年末、その成果を形にした。明治の漢学者・石川鴻斎による怪談集『夜窓鬼談』の現代語訳(春風社)だ。牡丹灯籠(ぼたんどうろう)や番町更屋敷を含む約90編から成るが、漢文のため中身は知る人ぞ知る存在だった。学生時代からの盟友、高柴慎治・静岡県立大教授との共同作業で、原著の挿絵も含む500ページ余りに結実させた。
小泉八雲や澁澤龍彦が底本に使ったことで知られる。「書き手の創造力が加わり新たな物語になる。拡大再生産が、実は文化継承の姿なのです」。使った原本は、鴻斎が没した静岡県磐田市の図書館で見つけた。鴎外の義父・赤松則良の旧蔵書「赤松文庫」の中で。光と影が期せずして結びつく。
100年余りの時に埋もれた作品の発掘は、日本の近代化の歩みを見直す機会にもなった。「効率第一で進めた結果、長い間築いた文化を見事に切り捨てた。取り戻すのは大変ですよ」
『週刊読書人 』
(2004.02.20)
さまざまな怪談や奇談を集めた書物といえば、蒲松齢の『聊斎志異』などが有名だが、日本でも明治二十二年、漢学者で詩文家、南画家でもあった石川鴻斎によって編まれた書物があった。それが『夜窓鬼談』である。この書物は現代でも通用する面白さを持っているが、あまり一般に知られていないのは、原文が漢文で書かれているためではないかと思われる。だが、これを定本として小泉八雲や澁澤龍彦が作品を作っていることなどもあり、知る人ぞ知る幻の古典だとも言える。今回、この上下二冊、八十八篇の物語を初めて現代語訳して一冊にまとめたのが本書。原書に収められた三十三葉の挿絵もすべて収録している。また、訳注の二人による石川鴻斎とその時代、『夜窓鬼談』についての論考もある。
『ダ・ヴィンチ』
(2004年2月号)
ラフカディオ・ハーンや澁澤龍彦が参照した幻の怪談奇談集の古典、初の現代語訳。
日本人は怪談や奇談がよほど好きな民族らしい。西洋的なモンスターやゴーストと違って、日本人の好む怪談には人間の情念や感情の綾が染みこんでいて、そのセンシティヴな湿り気がぞーっとさせるのだ。また海で周囲を囲まれた島国の日本人は見知らぬ世界や異様な存在への好奇心もまたひと際強いのだろう。古来より『甲子夜話』『耳袋』など怪談奇談、珍談を蒐集して記録した文人の書が少なくない。本書は江戸時代末期から明治大正にかけて生きた三河出身の漢学者、石川鴻斎が明治二十年代に出版した挿絵付きの上下二巻の「鬼談」すなわち怪異談集である。漢書から材を採ったもの、日本の古典書や説話から引いたもの、自らの見聞として紹介したもの、「東海道四谷怪談」や「牡丹灯籠」のような有名な落語や芝居を元に創作したものと、内容は多彩だ。さらに本書には、のちに澁澤龍彦の小説『ぼろんじ』『画美人』(『ねむり姫』所収)や『花妖記』『菊灯台』(『うつろ舟』所収)の底本になった話が含まれている。またラフカディオ・ハーンも本書を元に『怪談』などいくつかの作品を書いた。これまでほとんど知られていなかった幻の古典の初の現代語訳であるとともに、石川鴻斎のファンのみならず、澁澤ファンにとっても奇貨とすべき一冊だろう。原本が漢文体だけに叙述は簡潔で、余分な説明や描写がなくて、かえって想像をそそられる。近世と近代がまだ混在していた明治二十年代の雑居文化が彷彿とする。
東京中日新聞「ひと・仕事」
(2004.01.05)
愛知淑徳大教授の小倉斉さんが、愛知県三河地方出身の漢学者・石川鴻斎が記した怪談奇談集『夜窓鬼談』を、静岡県立大の高柴慎治教授と一緒に現代語訳し、春風社から出版した。
『夜窓鬼談』は、西欧化が進む明治20年代に出版。後の小説家がこの中の数話を基に作品を書いたりしたが、原話が漢文体のため全容を知る人は少なく、幻想文学のファンの間では“幻の名著”とされている。
小倉さんは、日本の近代文学が専門だが、約12年前にこの原本に出会い「面白さを多くの人に共有してもらいたい」と出版の準備をしてきた。
鴻斎が諸国を歩くなどして集めた鬼やてんぐ、かっぱ、安倍晴明が登場する怪奇談や、西欧化に対する文明批評など約90話を収録。33枚の挿絵もすべて載せた。原文の雰囲気を残しながら、分かりやすく口語訳するのに苦心したという。
「近代文学史で重要視されてない作品の中に面白いものがたくさんある。そんな『陰の物語』にスポットを当てたい」
静岡新聞・夕刊
(2004.01.05)
磐田市で亡くなった明治期の詩文学者石川鴻斎が千延期から全国を回り、古今の怪談奇談を集めた幻の名著「夜窓鬼談」の初の現代語訳が出版された。小泉八雲の「怪談」の底本になり、研究者には知られていたが、原著が漢文だったため一般には忘れ去られていた。
7年かけて現代語訳に取り組んだ県立大学国際関係学部の高柴慎治教授(近代文学)は「近代的な価値観が優先された明治期には注目を浴びなかったが、いまならば逆に江戸の怪談・奇談類が持つ新しさを感じるのではないか」と話している。
「夜窓鬼談」には鴻斎が訪ねた全国各地の人々からの伝聞を記録した「花神」「孤児識父」「毛脚」、昔から伝えられた話を物語にした「貧乏神」「役小角」「義猫」、鴻斎が創作した「笑鬼」「比翼塚」など悲喜こもごもの90編が収められている。鴻斎は中国の怪談奇談を収めた「聊斎志異」を意識していた、という。このうち、鴻斎とほど同時期を生きた八雲は「お貞の話」「鐘と鏡と」「宿世の恋」など4編を「夜窓鬼談」の原話に沿って書いている。
「夜窓鬼談」の原著は国立国会図書館、早稲田大学図書館など特定の図書館にしか収蔵されておらず、一般的にはほとんど知られていなかった。訳者の高柴教授、小倉斉・愛知淑徳大学教授は鴻斎がなくなった磐田市見付を訪ねた際、偶然、磐田市立図書館「赤松文庫」で「夜窓鬼談」を見つけた。「国会図書館などの蔵本より、ずっと状態がよかった。赤松文庫に原本が残っているとは思いもしなかった。これもわたしたちには奇談」と高柴教授。
現代語訳「夜窓鬼談」には、原本に所収されていた石版刷りの挿絵もすべて収録されている。
朝日新聞夕刊
(2003.12.24)
三河の豊橋出身の石川鴻斎という明治の文人の名を、知っている者はほとんどあるまい。儒者として活躍したが、明治二十年代に古今の怪談奇談を漢文でまとめて集成した「夜窓奇談」上下二巻を刊行した。四谷怪談や牡丹灯籠のような当時すでにポピュラーだった怪談も含めて、八十編を越える話が採録されている。のちにラフカディオ・ハーンや澁澤龍彦が、本書を底本にしていくつかの作品を書いていることで識者にわずかに知られていた本書が、愛知と静岡の近代文学研究者(小倉斉、高柴慎治)の手でこのほど現代語訳され刊行された。(春風社刊)
昔から東西を問わず怪談奇談の類は多いが、日本の場合はゴーストやモンスターへの興味のほうが強い傾向がある。だから一つ一つの話に短編小説の趣があるのだが、それが本書の場合、原文が漢文だったことで、簡潔にしてドラマティックな趣がいっそう増したと思われる。後の作家が想像を膨らませたのも頷ける。本書を手にした今の書き手が、また新たな作品を創造する材料となってほしいと願う。
(文芸評論家 清水良典)
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