安原顯

2002年 12月
ISBN4921146624
定価(2800円+税)
四六判




週刊朝日 (2002/12/27)
 詩人の谷川俊太郎さん(71)は、こんな一文を寄せた。

「からだは病んでいても、こころは健康そのものですね。全身全霊をあげて読み、書き、褒め、けなし、笑い、怒るヤスケン、その情熱に死はすでに敗北しています」

人生の全うの仕方について、谷川さんは、いろいろあっていいという。にぎやかなもの、静かなもの……。「宣言」の後も元気さを失わずに仕事を続ける姿を、「生き方が首尾一貫しています。平常心を保ち、最後まで自分の生活を通している」
とみる。

「ぼくはヤスケンに見出された小説家で、そのことを誇りにしているのだ。この国の文芸評論家が束になっても発見できなかった逸材を、君は一体どれだけ見出したことか!」

 とは、詩人の飯島耕一さん(72)のメッセージである。96年、飯島さんの小説『暗殺百美人』が東急文化村主催のドゥマゴ文学賞を受賞した。私家版で出したこの小説をただひとり、おもしろいと触れまわったのがヤスケンさんであった。「危険な株
を買える人」と飯島さんはいう。

入院・治療中もヤスケン節健在
 ふたりのエールが同時に届いた11月12日の日記。
「敬愛する二人の詩人による過分なる言葉に、ぼくは思わず泣いた。どうも有難うございました」
 飯島さんによると、作家の故・辻邦生がヤスケンさんを「たくさんのお母さんを必要とする人」と評したことがある。

「最近、この言葉を思い出しました。気が強いようで甘えっ子で寂しがりやの安原君を、性別や年齢を問わずたくさんのお母さんが遠くから見守り、励まし、なぐさめてくれている。安原君はいま、死を迎えるのではなく、果敢に、生の思想を生きている」