はじまりの春風社
編集長からひとこと
デザイナーから
原稿募集(アンケート)


よもやま日記(三浦)






 読後ただちに古本屋に売られ、廃品回収に出されてしまうような本、ではなく、長く手許に残しておきたくなる本を作りたい。

 インターネットや携帯電話がおそろしいスピードで普及する現代。単に情報や知識を書きつらねただけの「書籍」ではなく、「モノ」として愛着を抱ける本が必要ではないだろうか。

 装丁、文字組、紙の質感、インクの風合い、匂い。硬質な学術書、専門書であっても、息遣いやぬくもりを感じさせる一冊に仕上げます。


episode

牡牛と信号 <物語>としてのネパール

 著者の山本先生はネパールの研究者。ぼくも子どもの頃からネパールに行っていたので、この本作りには思い入れがあった。本書は学術書でありながら、その枠組におさまらない。「<物語>としてのネパール」が生き生きと活写されている。単なる研究報告ではなく、ネパールの体温を感じるような本にしたかった。

[紙]
 手織りの布やザラ紙に刷られたような雰囲気を出すために、紙選びには気を遣う。ジャケットはもちろん、表紙、見返し、オビにいたるまで気は抜けない。

[絵]
 ザラザラした触感の紙の場合、おのずとインクのノリは悪くなる。そこで、できるだけシャープに仕上げるために、ペンで描くべき絵をコンピュータを使い、チクチクと描いていった。途中経過(ラフ)を著者に郵送すると「描いているところ、作っているところが見たい!」とはるばる山口県から、制作現場へやってきた。

[本文]
 本文は読みやすく、疲れないのが基本。文字のポイントは大きく、行間も広めに。章ごとの扉には、先生の友人(元在ネパール日本大使)の写真をレイアウト。ここにもまた<物語>が生まれた。

 すべてが完成し、はじめて本を手にとったとき、我ながら「これはいい!」と唸ってしまった。著者はもちろん、推薦文の谷川俊太郎さんも気に入ってくださった。
 春風社では多岐にわたるジャンルの本が出版されるが、体温の感じない本は作りたくない。手に取ったとき、作り手の体温が読者に伝わっていく。そんな本を作りたい。





(C)春風社/Shumpusha Publishing.