「本らしい本」づくり
紙に印刷された手触り感を大切にしつつ、情報のみに還元されない「本らしい本」づくりにこだわっていきたいと思っています。ゲーム機を取り上げる力はなくても、ひとしきりゲームで遊んだ後で読みたくなるような、例えばそんな本。学問、創作のいずれかを問わず、著者の「こころ」を演出し、造形できればと願っています。
案と縁
若い編集者の企画案が多くなったことはうれしいことです。以前勤めていた出版社の企画会議で案を出すたびに「お前のは、どれもウチに相応しくないものばかりなんだよ!」と社長からこっぴどく怒られていましたから、若い人の企画はなるべく通したい。
また、一冊本ができたらそれで良しとするのではなく、その本の波及効果を追いかけ、次の企画につなげることも大事な企画力であると考えます。
広く
人文・社会科学系全般を手がけており、ジャンルは特定していません。
創業後間もない頃、簡単な目録を作りましたが、「お宅は、流行らない八百屋のようだね」と言われたことがありました。ジャンルは多岐にわたっているのに、刊行物が少ないことを冷やかされたと思って憤慨しましたが、とくに悪気はなかったのでしょう。始まりはどこの会社でも多かれ少なかれ同じことでしょうし、むしろ、「頑張れ!」と背中を押してくれる言葉だったかもしれません。
手びねりの器
お付き合いくださっている著者で、弊社の編集について<身体的>と評した方がいらっしゃいました。いただいた文章を徹底的に読み込み、句読点一つ、「てにをは」一つ蔑ろにしないことを心がけています。人に教えてもらうよりも、その工程で編集者としての力は磨かれます。本づくりについては「古臭さ」「丁寧さ」を標榜していきたいと思います。
装丁
すぐに春風社の本だと分かるような装丁にはしたくありません。内容をかんがみ、著者と読者を、いい意味で驚かせるような装丁。装丁家には、なるべく冒険することを希望します。