近代朝鮮文学と民衆

三・一運動、プロレタリア、移民、動員

  • 影本剛(著)/2024年2月
  • 4000円(本体)/四六判上製306頁
  • 装丁:中本那由子

民衆に触発された植民地朝鮮の文学世界

“近代朝鮮文学は民衆の力を感知する感性の鍛錬現場であった。”
日本語の研究ではあまり扱われてこなかった作家や雑誌も取りあげ、日本における朝鮮文学・韓国文学の認識を一新、画期的役割を果たす一冊。

(ISBN 9784861109492)

目次|contents

序章
第一節 問題提起と研究視角
第二節 本書の民衆概念と研究対象
第三節 先行研究の検討
第四節 本書の構成

第一章 三・一運動と民衆に触発された文学
第一節 頭のなかの民衆
第二節 発見された民衆、知識人の羞恥と自責

第二章 プロレタリア文学の大衆化とルンペン・プロレタリア
第一節 感覚の革命と大衆化——「意識化」の外
第二節 負債の力——蔡萬植のルンペン・プロレタリアと農業労働者
第三節 「形象」と社会主義リアリズム——林和の大衆化論

第三章 去った者たちの生活と民族
第一節 虐殺とスティグマ——関東大震災と朝鮮人の生
第二節 「万歳後」あるいは余震——廉想渉の絶対的平等
第三節 ヒエラルキーとレイシズムを解除する——東京の東南地域文学と金史良

第四章 動員される民衆——李箕永
第一節 敵対性と転向の問題
第二節 健康な労働者の系譜
第三節 再配置——ごみ、民族、敵対性

終章

著者|author

影本剛(かげもと・つよし)
朝鮮文学専攻・大学非常勤講師。韓国語の共著に『社会主義雑誌『新生活』研究——1920年代初の思想・運動・文芸の交差と分岐』(ボゴ社、2023)、『「境界」から見た災難の経験』(ヨクラク、2023)、『日本社会のサバルタン研究4——戦争・災害・植民地主義とサバルタン』(J&C、2022)などがある。論文に「近代朝鮮文学と「迷信」——啓蒙と生の原動力」『韓国朝鮮の文化と社会』22号(風響社、2023)などがある。日本語への訳書に高秉權『黙々——聞かれなかった声とともに歩く哲学』(明石書店、2023)、クォンキム・ヒョンヨン編『被害と加害のフェミニズム——#Metoo以降を展望する』(解放出版社、2023、共訳)、金賢京『人、場所、歓待——平等な社会のための3つの概念』(青土社、2020)、李珍景『不穏なるものたちの存在論——人間ですらないもの、卑しいもの、取るに足らないものたちの価値と意味』(インパクト出版会、2015)があり、韓国語への共訳書に金時鐘『失くした季節』(2019)、金時鐘『猪飼野詩集ほか』、栗原幸夫『プロレタリア文学とその時代』(2018)がある。

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