教育による包摂/排除に抗する児童福祉の理念
児童自立支援施設の就学義務化から
- 高田俊輔(著)/2024年2月
- 4000円(本体)/四六判上製320頁
- 装丁:長田年伸
教育と福祉による子どもへの統一的な保障はいかにしてなしうるか
自給自足の学びを目指して――
非行少年を対象とする入所型の児童福祉施設であり、少年院と児童養護施設の折衷的な役割を担ってきた、児童自立支援施設。その変遷や、就学が義務化された現状を考察する。入所児童に向きあう施設職員や学校教員たち実践者の言説や試みを解き明かし、児童福祉と学校教育のそれぞれの論理や実践が浮き彫りにする問題に、どのように理解し関わろうとしてきたかを探る。
(ISBN 9784861109034)
目次|Contents
序章 教育と福祉の「せめぎあい」の記述に向けて
第Ⅰ部 歴史研究編
第1章 歴史研究概要――施設機関誌の言説分析
第2章 感化院・少年教護院における教育・司法との差異化戦略
第3章 教護院の近代化と学校教育
第4章 「準ずる教育」の終焉、学校教育との調和
第Ⅱ部 フィールド調査編
第5章 フィールド調査概要――X支援施設に着目して
第6章 「準ずる教育」の消失と学校教員の「無力化」
第7章 「社会の風」としての学校教育
終章 「せめぎあい」の調整から生まれる連携・協働の可能性
あとがき
参考文献
初出一覧
索引
著者|Author
高田俊輔(たかだ・しゅんすけ)
上越教育大学学校教育研究科・講師。1987年奈良県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学。2022年、博士(人間科学)学位取得。東洋大学ライフデザイン学部・助教を経て現職。主要業績に “The relationship between education and child welfare in Japanese children’s self-reliance support facilities” (Contemporary Japan, 30, 2018)、「感化・少年教護実践と『教育的であること』」(『人間教育と福祉』9, 2020)、「教育と福祉のせめぎあい――就学義務化に抵抗する福祉の論理に着目して」(『ソシオロジ』66, 2021)、「教育への抵抗――児童自立支援施設における就学義務化に着目して」(『人間教育と福祉』11, 2022)。