シェイクスピアと日本語 言葉の交通

  • 中谷森(著)/2024年2月
  • 3500円(本体)/四六判上製272頁
  • 装丁:中本那由子

シェイクスピアを日本語で表現するというのはどういうことなのか――。明治以降の日本におけるシェイクスピア戯曲の翻訳・翻案作品のなかの「言葉」の在りように着目し、日本語と英語を同時に深い角度で眼差した創作者たちの意図、またシェイクスピア作品を取り巻く文化交渉の諸相を論じる。

(ISBN 9784861109416)

目次|contents

まえがき

 

序章 最前線としての辺境

 

第1章 再び〝ことば〟の方へ―研究と実践の通史

1.先行研究を流れる二つの水脈

2.日本のシェイクスピア翻訳と翻案のこれまで

3.本書の構成―四作品の“ことば”が照らすもの

 

第2章 演劇の言葉と小説の文章―小林秀雄作『おふえりや遺文』

1.作品の背景と先行研究

2.演劇と小説の分断―一九三一年発表時の文体

3.おふえりやと言葉の分裂―一九三三年と四九年の改訂

4.演劇と小説の接続―小林の『ハムレット』批評

5.演劇の言葉と小説の文章の紐帯

 

第3章 翻訳を通じた文体創造―福田恆存訳『ハムレット』

1.作品の背景と先行研究

2.せりふ劇と日本の伝統芸能の言語的差異

3.シェイクスピアの韻文と日本語の韻律

4.膠着語の問題と語尾の工夫

5.文末表現の工夫がもたらす独自性

6.「物」としての言葉

 

第4章 脚韻の再創造―木下順二訳『マクベス』

1.作品の背景と先行研究

2.一九七〇年から八八年までの変遷

3.シェイクスピア『マクベス』における脚韻の意義

4.一九八八年版における脚韻の再創造

5.悲劇の翻訳と脚韻

 

第5章 シテの言葉と声―平川祐弘作・宮城聰演出『オセロー』の夢幻能翻案

1.作品の背景と先行研究

2.平川祐弘による謡曲台本の考察

3.宮城聰による初演の演出の考察

4.東西を往還する言葉

5.言葉を旅するデズデモーナ

 

終章 言葉なき死の向こう側

 

あとがき

 

著者|author

中谷森(なかたに・もり)
津田塾大学学芸学部英語英文学科・専任講師。バーミンガム大学修士課程修了(シェイクスピア研究)。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士号(人間・環境学)。専門は、イギリス演劇研究・比較演劇研究。特に日本のシェイクスピア翻訳・翻案作品の研究。主要論文に「福田恆存訳『ハムレット』にみる翻訳を通じた文体創造」(2021)、“The Shifting Appreciation of Hamlet in Its Japanese Novelizations: Hideo Kobayashi’s Ophelia’s Will and Its Revisions”(2020)など。

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