幕末期の〈陽明学〉と明末儒学

修己と天人関係を中心に

  • 古文英(著)/2024年3月
  • 4100円(本体)/四六判上製336頁
  • 装丁:長田年伸

幕末期の陽明学者らに注目し、「誠中心の儒学」に代表される陽明学の既存の認識を再検討し、幕末期の儒学思想史像の刷新を企図する。

草庵からみれば、真実の学問は静中の功によらないと実現できないという。草庵からみれば、読書の功は心気の紛擾を引き起こし、静坐のほうが「澄心」に到達できる。したがって、念庵・双江の帰寂の説が最も『中庸』の慎独の核心をついていることになる。すなわち、草庵は心気の紛擾を排除し、心が澄んでいる境地に到達したいために、念庵・双江の帰寂の説をよしとする。(本文より)

(ISBN 9784861109225)

目次|Contents

まえがき
序章
第一部 池田草庵の折衷的な学問と批判的経世論
第一章 池田草庵における道徳と見聞知識の分離と再結合―経世致用論の形成
第二章 意と「天人一理」からみる批判精神
第三章 池田草庵の批判的経世論と門人への影響
第二部 山田方谷における「知覚感応の自然」と「万物一体の仁」
第四章 山田方谷の儒学思想の形成
第五章 山田方谷における実践論理の形成―「知覚感応の自然」と「万物一体の仁」を通して
第六章 山田方谷の「文武両道」論
第七章 山田方谷における撫育政策と君主の仁政
第八章 三島中洲の日清戦争前の儒学思想と義利合一論
補論 東洋哲学の構築からみる「自己表象」の形成―井上哲次郎の「三部作」を中心に
終章
あとがき
参考文献
索引

著者|Author

古文英(こぶんえい)
1990年、中国広東省生まれ。立命館大学大学院研究科人文学専修博士課程後期課程修了(博士・文学)。現在立命館大学文学研究科初任研究員・立命館大学授業担当講師。
主要論文:「陽明学者」池田草庵の儒学思想再考―幕末期における折衷的な学問に着目して」(『東アジアの思想と文化』11号、2020年)、「山田方谷における君主の仁徳論と撫育政策」(『立命館文學』673号、2021年)など。

この本を注文
Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する