アーレントと赦しの可能性

反時代的試論

  • 森一郎(著)/2024年3月
  • 4300円(本体)/四六判上製462頁
  • 装丁:長尾優

愛によるのでない、尊敬による赦しの可能性
イエスに学びつつ、宗教的ならざる、この世的な赦しの条件を追求するアーレントの思考
人間愛の美名の下に無世界性がはびこる時代に、赦される者と赦す者をともにあらたに始めさせる奇蹟はどこから来るのか。奴隷制に代わるロボット工学はどこへ向かおうとしているのか。革命思想はテロリズムといつから結びついたのか。生まれ出ずる者たちがともに事を為すとき何が起こるか。アーレントの二大主著『活動的生』と『革命論』の訳者が、時代に抗しつつ、来たるべき時代のための思考をひらく。
(ISBN 9784861109447)

目次|Contents

序―赦し・労働・テロリズム・出生
第一部 赦し
第一章 アーレントのイエス論―赦しの可能性
第二章 リクールとアーレント―「赦し」を中心に
第二部 労働
第三章 奴隷制問題の消息―テクノロジーの系譜学
第四章 ロボットの倫理―労働と人間のゆくえ
第五章 情報・知識・思考―『活動的生』第二三節より
第三部 テロリズム
第六章 革命精神とその影―テロリズムの系譜学
第七章 ミルトンと救いの可能性―『闘士サムソン』と9・11
第四部 出生
第八章 出生の危険について―デモクリトスとクローンの問題
第九章 始まりの経験―『活動的生』第二四節への一注解
第十章 誕生、行為、創設―『革命論』と「始まり」の問題
あとがき―反時代的ということ
初出一覧
索引

著者|Author

森一郎(もり・いちろう)
一九六二年埼玉県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京女子大学文理学部教授等を経て、現在、東北大学大学院情報科学研究科教授。博士(文学)。専攻は哲学。著書に、『死と誕生』、『死を超えるもの』(以上、東京大学出版会)、『世代問題の再燃』(明石書店)、『現代の危機と哲学』(放送大学教育振興会)、『ハイデガーと哲学の可能性』(法政大学出版局)、『核時代のテクノロジー論』(現代書館)、『ポリスへの愛』(風行社)、『アーレントと革命の哲学』(みすず書房)ほか。訳書に、アーレント『活動的生』、『革命論』(以上、みすず書房)、ニーチェ『愉しい学問』、『ツァラトゥストラはこう言った』、ハイデガー『技術とは何だろうか』(以上、講談社学術文庫)ほか。

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