ブナの森へ

女性・スピリチュアリティ・平和

  • 岩田澄江/2004年11月
  • 1800円(本体)/四六判・297頁

〈樹のいのり〉女性にとってほんとうに豊かな生き方とは。原始の森を逍遥して考える自然と共生、暮らし、宗教、世界平和、差別。「内なるうながし」に突き動かされたキリスト教フェミニストが折々に綴ったエッセイ。
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100208)

目次|indexs

i
ブナの森へ/アン・アーバーでの一年/コーラー先生と新宗教/出会い/渦のうちそと英国の子ども部屋/エコちゃんのこと/宗教とのかかわり/「救い」としてのフェミニスト神学
ii
「愛」二題/暗い冬/喜び/小さなハルと木の精
iii
内なるうながしの声/風は思いのままに吹く/空き家ではなく/クエーカーとフェミニズム/ミッションスクールの女子教育
iv
アジアについて/平和主義は何処へ?/歴史への責任/スリランカ・キャンペーンを終えて/ラロトンガ訪問記/太平洋諸国における人種差別と性差別/ロシアからの客/激動のインドネシアとインド核実験/駐在員の妻たちは?/南インド訪問/アウンサンスーチーを訪ねて
v
ひとつの小さな流れ/『教会と第二の性』を訳して/キリスト教における男女差別/女性解放とキリスト教/神谷美恵子の宗教観の基盤をなすもの/神谷美恵子の信仰/神谷美恵子と千葉敦子/神谷美恵子と千葉敦子 Ⅱ/定型にとらわれない旅/見知らぬ人/連帯と希望の歌を!/南京大虐殺六十周年にあたって/『アジアの女たちと宗教』/「フェミニズム・宗教・平和の会」草創の頃のことなど
Epilogue
ブナの森の巫女

著者|author

岩田澄江(いわた・すみえ)
1937年東京生まれ。国際基督教大学卒、ミシガン大学大学院留学。東洋文庫研究部、東大法学部研究室、普連土学園、NCCキリスト教アジア資料センターなどの勤務を経て、現在ビルマ市民フォーラム、日本クリスチャンアカデミー関東活動センター運営委員。
訳書に『教会と第二の性』(未来社)、『フェミニズムの母たち―アメリカのクエーカー女性の物語』(未来社)、『女性解放とキリスト教』(共訳 新教出版社)がある。

担当編集者から

木には希望がある、というように
木は切られても、また新芽を吹き
若枝の絶えることはない。
地におろしたその根が老い
幹が朽ちて、塵に返ろうとも
水気にあえば、また芽を吹き
苗木のように枝を張る。
だが、人間は死んで横たわる。
息絶えれば、人はどこへ行ってしまうのか。
(ヨブ記14・7-10)
この詩句を冒頭に配しましょうと言ったとき、著者の岩田さん、「脅しの言葉みたいで怖くないですかねえ」と心配もされていた。
人間には希望がない、とも読める詩句だからだ。
しかし、ぜひ入れるべき確信がわたしにはあった。あとがきにこうある。
ドイツ語でブナ〈Buche〉は本〈Buch〉の語源なので、本書「ブナの森へ」は「本の森へ」ということにもなる。
肉体は滅びても本はのこり、読む者の内に芽を吹き、枝を張る。本は一粒の種子だ。これ以上の希望はないと思う。
エピグラムからあとがきまで、一本ふとい流れが通った自信作。ぴりっとした涼気に触れるような達意の文。森歩きの呼吸でゆっくりお読みください。 [-内藤-]

 

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