自治体の言語サービス

多言語社会への扉をひらく

  • 河原俊昭(編著)/2004年12月
  • 2286円(本体)/A5判・300頁

在日外国人は困っている! 秋田県、沖縄県、旭川市など、14の自治体の言語サービス(情報提供、相談活動、通訳・翻訳、母語支援等)の現状と問題点を具体的な事例にもとづき紹介し、改善策を提示する。
(ISBN 4861100224)

目次|indexs

はじめに―言語サービスとは(河原俊昭)
第Ⅰ部 (関東地方)
第1章 「外国人」児童生徒のための母語保障―神奈川県内の事例研究(松原好次)15
第2章 「内なる国際化」―東京都の言語サービス(Peter Backhaus)
第3章 相模原市における言語サービス―「さがみはら国際交流ラウンジ」を中心に (手塚順孝)
第4章 外国人への日本語教育サービス―東久留米市の事例から (秋山容子)
第5章 多文化共生地域社会をめざして―川崎市の言語サービス (三好重仁)
コラム1 多文化共生の場 (八田洋子)
コラム2 ゴミの分別 (原隆幸)
第Ⅱ部 (東海、関西、沖縄地方)
第6章 人権の視点からみた安全への多言語対応―豊田市の事例から (岡戸浩子)
第7章 浜松市における在住外国人施策をめぐって―官民一体となった教育・学習支援の可能性 (淺間正通・安冨勇希)
第8章 沖縄県の言語サービス政策についての一考察 (樋口謙一郎)
コラム3 神戸と外国人 (中尾正史)
第Ⅲ部 (北海道、東北、北陸地方)
第9章 旭川市とユジノサハリンスク市の言語サービス (井筒勝信)
第10章 秋田県における国際化と外国語言語サービスの課題と展望 (榎木薗鉄也)
第11章 地方都市における「言語サービス」―山形市国際交流協会の場合 (高木裕子・古内綾子)
第12章 日本語指導を必要とするブラジル人児童生徒への対応―在住外国人少数地域・石川県小松市の事例 (後藤田遊子)
第13章 金沢市を変えるニューカマーたち (河原俊昭)
コラム4 NHKの語学講座に登場する外国人 (山川智子)
第Ⅳ部 (日本語教育)
第14章 「言語サービス」としての日本語教育 (鈴木寛子)

著者|author

河原俊昭(かわはら・としあき)
1950年石川県生まれ。東京大学文学部卒業。金沢大学教育学部教育学科研究科修了(教育学修士)。金沢大学社会環境科学研究科修了(社会環境科学博士)。現在、金沢星陵大学教授。
著書に『アジア英語辞典』(共著、三省堂)、『異文化理解の座標軸』(共著、日本図書センター)、『Languages and Language Policies in Insular Southeast Asia―Foucusing on the Philippines and Malaysia』(春風社)など。

担当編集者から

編著者の河原先生は、金沢市の言語サービスについて執筆されている。年に2度しか帰省しない私だが、古い地方都市である金沢にも在住外国人が増えていることはなんとなく肌で感じていた。友人から、勤務している会社で中国人やインド人が働いている、モンゴルの留学生と知り合いになったという類の話も聞いている。
在住外国人とどう接するか、という日本人側の悩みはあるだろう。しかし当然のことながら、より大きな問題や困難を抱えているのは在住外国人の人たちだ。彼らは、言葉も習慣も違う場所で、ごく普通の日常生活を営む術をどこの誰に尋ねたらいいのかわからないのである。
日本人でさえ煩雑なゴミの出し方をわかりやすく伝えるにはどうしたらいいのか。病気・事故、火事など、命にかかわる非常事態に遭遇したとき、迅速な行動がとれるような体制はできているのだろうか。
本書は、各自治体での取り組みを、インタビュー、アンケート調査、統計データの分析等にもとづいて紹介している。地域によって在住外国人の数も母語の種類もまちまちであり、いわゆる「お上のお達し」で解決できることは少ない。どの自治体も、地元の人と在住外国人の力を借り、手探りでよりよい言語サービスを見出そうと努力している。本書の事例を多言語社会への第一歩として検証し、実際の場面で役立てていただけたら、と願っている。[-山岸-]

 

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