近代日本におけるイスラームの転回
漂泊する知の考古学
- 黒田賢治(著)/2025年12月
- 4300円(本体)/A5判上並製336頁
- 装画:Nina
イスラームという信仰は、この国でいつ発見され、どのように理解されてきたのだろうか。西洋と中国という経路によってもたらされ、仏教やアジア主義といったフィルターを通して変容し、やがてその一部は忘れ去られていった、知の系譜を掘り起こす試み。
新井白石による「マァゴメタン」の発見、文久遣欧使節団の「仏像」なきモスク体験、「怪傑マホメツト」像の創造、山岡光太郎に先立つ中島裁之の「メッカ」視察談の謎、そして大正三年の「巡礼船事業」……
日本はどのようにして、独自のイスラーム観を形成してきたのか。
(ISBN 9784868160700)
目次|contents
序章
第一章 イスラームの発見とサムライたちの教養
第二章 幕末日本におけるイスラームとの邂逅——文久遣欧使節団の記述より
第三章 西洋への眼差しのなかのイスラーム
第四章 明治日本のイスラーム――外来知識の咀嚼と帝国の戦略
第五章 翻訳時代のムハンマドの小伝と知の共鳴
第六章 明治期後期のイスラームをめぐる知の展開と系譜――ムハンマドの伝記とその資料
第六章補論 聖典クルアーン研究の先駆者藤田季荘
第七章 一九〇七年の中島裁之の世界旅行と「メッカ」視察談——日本初のマッカ訪問者をめぐって
第八章 近代日本とイスラーム世界の関係再考――大正三年巡礼船事業を中心に
終章
あとがき
参考文献
索引
著者|author
黒田賢治(くろだ・けんじ)
1982年奈良県生まれ。2011年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了。博士(地域研究)。人間文化研究機構 総合人間文化研究推進センター研究員、国立民族学博物館助教などを経て、25年9月より国立民族学博物館グローバル現象研究部准教授。
専門は中東地域研究、イスラーム研究、文化人類学。
著書に『イランにおける宗教と国家――現代シーア派の実相』(2015年、ナカニシヤ出版)、『戦争の記憶と国家――帰還兵が見た殉教と忘却の現代イラン』(2021年、世界思想社、国際宗教研究所賞奨励賞受賞)、『現代イラン史――イスラーム革命から核問題、対イスラエル戦争まで』(2025年、中央公論新社)などがある。共著に『大学生・社会人のためのイスラーム講座』(2018年、ナカニシヤ出版)、『「サトコとナダ」から考えるイスラム入門』(2020年、星海社)など。
