ヨコハマ ヨコスカ 幕末 パリ

  • 飯島耕一/2005年5月
  • 2800円(本体)/四六判上製・328頁

「おれだっていやだが、どうすればいいんだ」生と死、日常と狂気、時空の淵を彷徨う男がいる。単行本未収録の「パリ愛惜」ほか1篇を含む8作品で構成。話題の詩集『アメリカ』で読売文学賞受賞の詩人による自選短篇小説集!
日本図書館協会選定図書
(4861100402)

目次|indexs

ヨコハマ ヨコスカ 幕末 パリ
虹橋
ブナ林へ
パリ愛惜
顔見世は世界の図也夜寝ぬ国
神田滅多町の女
出発
硫酸の日々
あとがき

著者|author

飯島耕一(いいじま・こういち)
1930年岡山市に生まれる。1952年東京大学文学部仏文科卒業。2000年3月まで明治大学教授。一九五三年詩集『他人の空』。1955年シュルレアリスム研究会をつくって数年間続いた。詩集に『ゴヤのファースト・ネームは』(高見順賞)、『夜を夢想する小太陽の独言』(現代詩人賞)、『さえずりきこう』、『浦伝い 詩型を旅する』などがあり、評論集に『日本のシュールレアリスム』、『萩原朔太郎』、『白秋と茂吉』、『シュルレアリスムという伝説』などがある。他に小説『暗殺百美人』(ドゥ・マゴ文学賞)、『小説・平賀源内』、著作集として『飯島耕一・詩と散文』(全5巻)がある。近作詩集『アメリカ』で2004年度読売文学賞と詩歌文学館賞を受賞。2013年10月14日、吸収不良症候群のため死去。

担当編集者から

「詩の武芸者」飯島耕一さんの短篇小説ベスト集。
恐るべき博識に裏打ちされた、大らかな文体の織りなす掛け値なしの傑作ぞろい。たとえばオビ惹句に用いた「出発」のラストシーンはこうだ。

「こんな時代を何とかしたくないんですか」と、その女の声は囁き続けた。
「おれはしかし動きたくないのだ。おれだっていやだが、どうすればいいんだ。おれは何もしたくないんだ」と、わたしは内心で繰り返していた。
エスカレーターに乗ってホームの上まで行ってしまえば赤や青や白のセルロイドのような椅子があり、キオスクと呼ばれる売店があり、すでにそこは感傷に耽るような場所ではなかった。

「出発」は今から28年前の作(故ヤスケンさんの依頼による)だが、この底知れぬ絶望、けっして過去のものではないと思う。
本物の小説をお探しの方、ご損はさせませんぜ![-内藤-]

 

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