古代歌謡と南島歌謡

歌の源泉を求めて

  • 谷川健一/2006年2月
  • 2400円(本体)/四六判上製・308頁

言葉の呪力、アニミズムの息吹―南島文化に残された「万葉以前のうた」の世界に遊ぶとき、古代歌謡の真の姿が浮かび上がる。古代から芭蕉にいたる歌を通覧し、日本人の魂の秘密に迫る!
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100585)

目次|indexs

はじめに
序章 うたと民俗学
第一章 歌の発生
1 アニミズムの時代/2 言問う世界/3 言葉の呪力4 呪詛の言葉―とこひ37/5 ウタの発生/6 神意をヨム言葉―誦み言/7 ヨミゴトからヨミウタへ/8 ヨミウタからウタヨミへ/9 諺と本縁譚/10 歌のたたかい/11 相手を惑わす呪歌/12 毛遊びの歌/13 久米歌のかけあい/14 歌と諺/15 風俗歌と枕詞/16 枕詞と地名
第二章 挽歌の展開―柿本人麻呂を中心に
1 恋と乞い/2 異常死者への挽歌/3 「遊ぶ」ということ/4 遊部の所在地/5 生目天皇の末裔/6 遊部と歌垣/7 三月十八日と九月十八日/8 人麻呂終焉歌/9 丹比真人の歌/10 死と影の国/11 魂乞い―挽歌と相聞/12 挽歌の消滅
第三章 うたげの世界
1 客人歓待の歌/2 能登の民謡/3 酒宴の盞歌/4 住吉の浜の小松/5 越の遊女/6 棹の歌
第四章 共同体の詩
1 東国の民俗と地名/2 地霊とつながる序詞/3 笠原の風/4 序詞と寄物陳思/5 地名と歌枕/6 連歌から俳諧へ/7 俗語を正す/8 地名と地霊/9 共同体の詩/10 集団との交わり
補遺
1 「夢歌」について/2 俳諧は歌なり/3 蕉翁の一句/4 「にほふ」について/5 磯辺の生物たち/ウニとガゼなど/6 花礁について
あとがき
参考図書

著者|author

谷川健一(たにがわ・けんいち)
1921年熊本県生まれ。東京大学文学部卒業。民俗学者。現在、日本地名研究所所長。
著書
『魔の系譜』(紀伊国屋書店)
『白鳥伝説』(集英社)
『青銅の神の足跡』(集英社、小学館ライブラリー所収)
『南島文学発生論』(思潮社)
『日本庶民生活史料集成』(編書、三一書房)

担当編集者から

本文中に、柳田国男を引用しつつ論じるこんな箇所がある。

「柳田はわずか数行の文章で、薄暗い光のさしこむ勝手で黙々と食器を洗う女たちのなげきを描き切っている。
私の生まれ育った頃は木器はなく、陶磁器の食器であったが、それでも私の母や家に働いていた女たちの侘しい後ろ姿が彷彿としてくる」

ぼくは商売家に育ったので、庶民を低く見る目線に生理的な嫌悪をもっている。しかし庶民の感覚を保ちつつ学問するのは難しく、大半の学者はどこかしら高踏的だ。上の文を見てもわかるが谷川さん(いつもは先生と呼んでいるがあえて谷川さんと書く)の文の目線は低い。お目にかかって話をうかがっていても(おっかねえけど笑)そうだ。
庶民の感官のひだに分け入り日本人の心性の根を探る民俗学の醍醐味、どうぞ![-内藤-]

 

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