同一性の形而上学

映画・SF・探偵小説

  • 村上隆夫/2006年5月
  • 5600円(本体)/A5判上製・480頁

統一的で自明的な像が崩壊した現代世界に、イメージの無数の断片をつなぐ「モンタージュ」が立ち現れる。探偵小説、SF、映画を参照しつつ、西欧近代における同一性概念の解体と再構築を語る思考の試み。
(ISBN 4861100593)

目次|indexs

序章 劇場空間の変貌と視点の歴史的展開
第一部 言語と法
第一章 類似性と同一性
第二章 法則と因果性
第三章 言語と実体
第四章 神話と論証
第二部 人格と法
第五章 意思疎通と同一性
第六章 意思疎通と人称
第七章 人格的同一性
第八章 自由と必然性
第三部 人格と仮象
第九章  イデアと仮象
第一〇章 国家と人格
第一一章 自己同一性
第四部 映画的世界像と探偵小説的世界像
第一二章 映画的世界像と同一性
第一三章 探偵小説と同一性
第一四章 SF小説と同一性
終章

著者|author

村上隆夫(むらかみ たかお)
1947年生。東京教育大学卒業。現在、群馬大学教授。
著書『政治的な学としての倫理学』(未来社、1988)、『ベンヤミン』(清水書院、1990)、『メルロ=ポンティ』(清水書院、1992)、『模倣論序説』(未来社、1998)他。
翻訳、ラインハルト・コゼレック『批判と危機』(未来社、1989)、テレル・カーヴァー『マルクス事典』(未来社、1991)他。

担当編集者から

ぼくは探偵小説(ドイル、クリスティから島田荘二、綾辻行人)やSF(ディック、バラード)が好きで、大学の頃など経済学の授業中、本を読みまくったものだ。
しかしそれと哲学とがあたまの中で結びつくことはこれまでなかった。
本書は副題が示すとおり、映画やSFや探偵小説が同一性をどのように扱っているかを丁寧に論じていて、とても面白い。
考えてみればSFや探偵小説は同一性やアイデンティティの不安を題財にするものが多い。いや、一貫してそれのみ扱ってきたとすらいえる。
ドゥルーズなど現代思想を武器に、粘り強い筆致で近代の病「同一性の解体」に立ち向かう。[-内藤-]

 

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