[増補改訂]ハプスブルクの実験

多文化共存を目指して

  • 大津留厚/2007年5月
  • 2200円(本体)/四六判上製・228頁

巧妙な政策により多文化・多民族・多言語の共存を実現し、第一次大戦後に崩壊した帝国。それは不可能な試みだったのか? 民族自決・国民国家の理念に基づかない国家モデルの展望は? 「実験」の意義を改めて問う。中公新書として1995年に刊行された名著に、その後の歴史の進展と研究の深まりをふまえ、大幅な増補・改定をほどこし刊行。
日本図書館協会選定図書
(ISBN 9784861100970)

目次|indexs

第一章 自立して対等にして共通(アウスグライヒ体制の構造)
1 一八六七年の戴冠式
2 プラグマーティシェ・ザンクツィオーン
3 一八四八年革命
4 アウスグライヒ
5 戴冠記念丘陵
6 「民族は平等である」の誕生
7 アウスグライヒ体制
8 カー・ウント・カー、カー・カー、カー・ウー
9 宮廷
第二章 あなたの民族は?(統計と民族)
1 母語・家庭語・日常語
2 サラエヴォの銃声
3 ハプスブルク帝国の民族分布
第三章 もしも兵士になったら(軍隊と民族)
1 軍隊と民族言語
2 連隊の配備と民族の問題
3 共通陸軍の軍制改革構想
4 ハプスブルク軍の国民統合機能
第四章 役所で(行政と民族)
1 市町村の自治と民族
2 内務語と外務語
3 バデーニ言語令事件のその後
第五章 少数民族系小学校のつくり方(教育と民族)
1 授業で使われる言葉
2 小学校の設置をめぐる紛争
3 イヴァンチッツェにドイツ系小学校をつくる
4 小学校教育と憲法第一九条
第六章 ユダヤ人ナショナリズムとシオニズム
1 イヴァンチッツェ・ユダヤ人自治区ドイツ系小学校廃止問題
2 ユダヤ人ナショナリズム
3 シオニズムとナショナリズム
第七章 アメリカへ、アメリカから(失われた故郷)
1 アメリカへ
2 アメリカから
3 もう一つの失われた故郷
オワトナからの手紙、またはプラハの春
ニュー・プラーグ(新プラハ)の壁画
ドヴォルジャーク『アメリカ』の誕生
物言わぬ移民たち147 もう一つの失われた故郷
第八章 民族は比例的に代表されるか(議会と民族)
1 国会とは何か
2 普通平等選挙法と民族の問題
3 選挙法改正委員会の調整
4 国会は変わったか
第九章 人類最後の日々(ハプスブルク帝国の崩壊とAONOGAHARA)
1 カイゼリン・エリーザベト号と日本・オーストリア=ハンガリー関係
2 青野原俘虜収容所の生活
3 ガリツィア戦線のオーストリア=ハンガリー軍
4 ユーラシア捕虜収容所群島
5 帰還兵の反乱
エピローグ 崩壊そして新たな出発

著者|author

大津留 厚 (おおつる・あつし)
1952年東京都生まれ。
神戸大学大学院人文学研究科教授。
編著書に、『中央ヨーロッパの可能性 揺れ動くその歴史と社会』(昭和堂、2006年)ほか。

 

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する