ガラスのなかの古代ローマ

三、四世紀工芸品の図像を読み解く

  • 藤井慈子/2009年5月
  • 5524円(本体)/A5判・上製・372頁
  • 装丁:矢萩多聞

ローマのカタコンベに副葬され、異教からキリスト教への変遷を映し出す金箔ガラス。貿易港や温泉保養地として栄えたプテオリとバイアエのランドマークを描く景観カット付球状瓶。文献史料からは明らかにならない庶民の宗教、暮らし、願いを鮮やかに語りだすガラスの世界。
(ISBN 9784861101847)
日本図書館協会選定図書

目次│indexs

第一部 古代ローマとガラス
第一章 ローマ人の生活とガラス
第二章 ガラス製造1―原料採取とガラス化までの工程
第三章 ガラス製造2―製品化の工程
第四章 ローマおよびプテオリにおけるガラス製造
第二部 都市ローマと金箔ガラス―副葬品にみる帝政後期の都市ローマと初期キリスト教
第一章 金箔ガラス
第二章 金箔ガラスの多様な装飾主題
第三章 金箔ガラスの銘文―人名、定型句、モノグラム
第三部 プテオリ、バイアエと景観カット付球状瓶―土産物にみる帝政後期の港湾都市と温泉保養地
第一章 景観カット付球状瓶
第二章 プテオリとバイアエ
第三章 景観カット付球状瓶にみるプテオリとバイアエ
第四部 ガラスに描かれたローマ世界―ローマ・ガラスにみる装飾主題の「史料性」
第一章 四世紀ローマの殉教者崇敬「史料」としての金箔ガラス
第二章 四世紀プテオリ・バイアエのトポグラフィー「史料」としての景観カット付球状瓶

著者│author

藤井慈子(ふじい・やすこ)
ローマ時代に日用品として庶民の生活に浸透したガラスと、そのガラスに残された装飾―図像や銘文を研究テーマとする。とりわけ三~四世紀(帝政後期)のガラスには、庶民の願いや関心を映し出す興味深い装飾があり、記録を目的とした文献史料とは別の視点で、異教からキリスト教への過渡期にあたるローマ世界を切り取れると仮定し、注目している。広大なローマ帝国で製造されたガラスを研究するにあたり、ヨーロッパ各地(とりわけイタリアとクロアチア)で実見調査につとめ、世界各地の研究者との交流も深めている。 上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(史学)。2002 ~2005 年日本学術振興会特別研究員、2005 ~ 2006 年イタリア政府奨学生。国際ガラス史学会(AIHV)、日本ガラス工芸学会に所属。現在ローマ在住。

 

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