歴史教科書とナショナリズム

日本とドイツ

  • 原口健治(著)/2016年5月
  • 2700円(本体)・四六判上製・314頁
  • 装丁:桂川潤

国家・国民は過去の「過ち」をどのように受け止め、責任を負い、未来へ伝えてゆけばよいのか?
「新しい教科書をつくる会」は、従来の日本の歴史教科書を「自虐的」と批判する。しかし、ドイツの歴史教科書には、日本の戦争記述とは比べものにならないほど、ナチズムを厳しく追及する記述が多く含まれる。これを「自虐的」と呼ぶべきだろうか。
日独の比較を通して、歴史教科書問題の背景にある、国家・国民像とアイデンティティのあり方を考える。
(ISBN 9784861105067)

目次|indexes

第1章 『新しい歴史教科書』の歴史/教育観:ドイツの歴史教科書と何が違うのか
Ⅰ.  歴史教科書の環境
Ⅱ. 歴史観・歴史教育観
1. 近現代史・戦争とナチズムの位置づけ
2. 共感の歴史
Ⅲ. 「わが」国の歴史
第2章 「歴史教科書問題」とは何か:私たちが迫られている選択
Ⅰ. 歴史教科書問題と「イデオロギー」, または「政治教育」としての歴史教育
Ⅱ. 「我々」と「他者」のかかわりの中での「歴史教育問題」:沖縄戦の記憶をめぐって
Ⅲ. 日独の戦没者追悼と歴史教育理念
1. ノイエ・ヴァッヘ:ドイツにおける戦没者の公的追悼
2. 首相の靖国神社参拝と援護法の思想
3. 「全国戦没者追悼式」が隠蔽するもの
4. 戦没者追悼と歴史教育
第3章 歴史教科書とナショナリズム:「日本人」というアイデンティティと自由
Ⅰ.  「自虐」とは何か
Ⅱ. 「集団の罪」論
Ⅲ. 過去の罪と現在の責任
Ⅳ. 愛国心と自由
Ⅴ. アイデンティティの複数性:アマルティア・センのアイデンティティ論
Ⅵ. 「日本人」の論じ方
1. 萱野稔人『ナショナリズムは悪なのか』
2. 井崎正敏『〈戦争〉と〈国家〉の語り方:戦後思想はどこで間違えたのか』
3. 加藤典洋『敗戦後論』
Ⅶ. 「抵抗」論
むすび  「自虐」と「歴史修正主義」からの解放のために
参考資料:ドイツ歴史教科書に基づくドイツ近現代史スケッチ
おわりに

 

著者|author

原口健治(はらぐちけんじ)
青山学院大学法学部教授。専門はドイツ文学。
訳書に『ハインリヒ・マン短篇集2』(1999年、松籟社、共訳)がある。

 

 

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