アジアの瘤ネパールの瘤

ヨード欠乏症への医学的・社会学的挑戦

  • 山本智英・熱田親熹/2003年4月
  • 2857円(本体)/A5判・312頁

昆布と瘤に秘められた因果と課題に鋭く切り込む! 開発途上国のヨード欠乏症撲滅をめざす医師と社会学者の実践ドキュメント。特にネパール政府や患者へのインタビュー、患部であるコブの写真は日本初公開。日本の昆布が貢献する。
(ISBN 4921146748)

推薦の言葉

甲状腺ホルモンの原料となるヨードは、人の体にとって絶対に必要なものだ……ヨード補給は、非常に安い費用で大きな貢献ができる支援だ。ぜひこの問題に関心をもち、協力してほしい。
―入江實(ヨード欠乏症国際対策機構日本代表・東邦大学名誉教授)

目次|indexs

序章 コブとり爺さんの誕生
Ⅰ部 ネパールのコブ―コブとりへの社会学的挑戦―
第1章 挑戦のはじまり
はじめに/ヨード欠乏症とは/ICCIDDとの出会い/ヨード欠乏症根絶への意欲/「提言」と「昆布」をかかえて/保健省栄養課長との面談/ヨード塩と昆布の将来を占う/マーケティング論争と草の根貿易
第2章 村人の話を聞く
ヨードって何もの?/面接調査の実態/コブ! 重くない?/ネパール人は「酢昆布」がお好き/プロジェクトに協賛者現れる/プロジェクトのフレームづくり
第3章 ネパールにとって何が問題か
ネパールの地理的特徴/ネパールのヨード欠乏症(IDD)事情
第4章 調査・研究テーマの設定とアプローチ方法
研究目的と研究方法
第5章 塩の道をたずねて
食塩の単価/食塩の保管状況/食塩のヨード濃度/今日の「塩の道」/昔の「塩の道」/日本にもあった「塩の道」/ヨードって何のこと?
第6章 マーケティングの道
精塩の販売促進の有無とIDD知識との関係/キャンペーンに対する小売店の評価と食塩公社の存在/IDD対策の阻害要因のまとめ(小売店レベル)/小売店から見た消費者動向/住民面接調査から見た消費動向/IDD対策の阻害要因のまとめ(消費者レベル)
第7章 ネパールの国家計画
S・パンディさんとの最初の面談/R・P・ジョーシ氏との面談/大西英之氏との面談/IDD対策の阻害要因のまとめ(政府・行政レベル)
第8章 国家計画とIDD対策はどのようにしてできたか
第九次国家計画(一九九七~二〇〇二)栄養編の構築/ネパール・IDD根絶の行動計画の構築/文献から学ぶ
第9章 第一次研究活動を終えて
アウトプットの形/ネパール政府への提言(研究の結論)
Ⅱ部 アジアのコブ―医学的挑戦と日本の援助―
第10章 国際的なヨード欠乏排除に対する取り組み
第11章 人類のヨード欠乏との取り組み
第12章 ヨードと甲状腺ホルモン
自然界におけるヨード/甲状腺ホルモン
第13章 ヨード欠乏症の医学
ヨード欠乏症の病態/地域のIDDの重症度/ヨード欠乏による障害者数の推定/母子のヨード欠乏による甲状腺機能障害の発症と予防
第14章 家畜のヨード欠乏
第15章 集団的なヨード欠乏の予防
原料としてのヨード/ヨード添加塩/ヨード化油/その他のヨード補充/IDD欠乏予防計画の策定と実施
第16章 ヨード補充の経済性
Ⅲ部 アジアのコブとり対策の現況
第17章 ヨード欠乏対策が比較的に進んでいる国、中国とインド
中国/インド
第18章 インドネシアとマレーシア
インドネシア/マレーシア
第19章 ヒマラヤとインド周辺の諸国
パキスタン/ブータン/バングラデシュ
第20章 インドシナ半島の国々
ベトナム社会主義共和国/ラオス人民民主共和国/カンボジア王国/タイ王国/ミャンマー
第21章 モンゴル
第22章 ヨード欠乏に対する日本の対外公的医療援助の現状

著者|author

山本智英(やまもと・としひで)
大阪大学医学部卒業。ヨード欠乏症国際対策機構会員。
熱田親熹(あつた・ちかよし)
三洋電機退職後、関西国際大学短期大学部教授。関西国際大学客員教授。
熱田先生サイト→熱田画廊

担当編集者から

山本先生はお医者さん、熱田先生は大学に勤務。二人とも早口で、こちらもつい早口に。表紙は昆布を使用。武田尋善クンが迫力あるデザインに仕上げてくれました。選んだ紙も手ざわりが昆布のよう。ぜひ触ってみてください。[-山岸-]

 

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