揺れ動く〈保守〉

現代アメリカ文学と社会

  • 山口和彦、中谷崇(編)/2018年9月
  • 3500円(本体)/四六判上製336頁
  • 装丁:長田年伸

トランプ現象に見られる混迷と分裂の時代に、文学はどう対峙するのか?
トニ・モリスンからドン・デリーロまで、現代アメリカ文学に描かれた「保守」なるものの諸相について多角的に考察する。
(ISBN 9784861106095)

目次|contents

はしがき―トランプ現象と、現代アメリカ文学の「保守(性)」について語ること【山口和彦】
1 姉妹の選択―モリスンの『ホーム』にみる「保守」としてのセルフ・ヘルプ【深瀬有希子】
2 ニューディールと「保守」の倫理―コーマック・マッカーシーの『果樹園の守り手』における市民的反抗の精神【山口和彦】
3 失われた学費―ウィラ・キャザー「オールド・ミセス・ハリス」と左派批評【山本洋平】
4 老兵死す―ヘミングウェイの『河を渡って木立の中へ』と冷戦【辻秀雄】
5 ジョン・オカダ『ノー・ノー・ボーイ』論―アメリカ社会の主流とマイノリティの境界【安原義博】
6 ブルース・スプリングスティーンの複眼的視線―デューイ、スタインベック、ガスリー、そしてスプリングスティーンへ【遠藤朋之】
7 カーソン・マッカラーズと少女の夢―『結婚式のメンバー』における保守とリベラル【佐々木真理】
8 冷戦終結とジョン・アップダイク的中産階級の変質―9・11後のネオコンとネオリベラリズムの時代への応答【中谷崇】
9 戯れるアトムとイヴ―ボビー・アン・メイソンの南部原発小説『アトミック・ロマンス』【渡邉真理子】
10 囁き続ける水滴―ドン・デリーロ『ゼロK』における「生命の保守」【渡邉克昭】
あとがき―「ネオコン」と「ネオリベラリズム」と「ポスト・トゥルース」の時代における「文学」の意義【中谷崇】

編者| editors

山口和彦(やまぐち・かずひこ)
所属:上智大学文学部准教授
研究分野:コーマック・マッカーシー研究
主要業績:
[論文]「暴力表象と倫理の行方―コーマック・マッカーシー『ブラッド・メリディアン』論」(日本英文学会関東支部編『関東英文学研究』第8号、2016年所収)
[論文]「崇高の向こう側―コーマック・マッカーシー『ザ・ロード』」(東雅夫・下楠昌哉責任編集『幻想と怪奇の英文学II』春風社、2016年所収)
[共編著]『アメリカ文学入門』(三修社、2013年)

中谷崇(なかたに・たかし)
所属:横浜市立大学国際総合科学部准教授
研究分野:ジョン・アップダイク、ウィリアム・フォークナー研究
主要業績:
[論文]「『アブサロム、アブサロム!』に至るヨクナパトーファの変容―フォークナーのニューオーリンズ経験における「水」と「仮面」が拓いたもの」(日本ウィリアム・フォークナー協会編『フォークナー』19号、 2017年所収)
[論文]「モダニズムのテクスト―フォークナー『響きと怒り』」(明星聖子・納富信留編『テクストとは何か―編集文献学入門』慶應義塾大学出版会、2015年所収)
[論文]「フォークナーと南部農本主義の距離―「分かりやすさ」を欠く「大衆小説」という逆説」(平石貴樹・後藤和彦・諏訪部浩一編『アメリカ文学のアリーナ―ロマンス・大衆・文学史』松柏社、2013年所収)

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