非在の場を拓く

文学が紡ぐ科学の歴史

  • 中村靖子(編)/2019年2月
  • 4100円(本体)/四六判上製586頁
  • 装丁:長田年伸

近代科学がもたらした技術は、いかに人間の想像力や表現手段を変容させてきたのか?
文学、思想、哲学、神経科学、美術史などの諸分野を横断し、「非在の場」をめぐり思考する10の刺激的論考。
(ISBN 9784861106354)

目次|contents

はじまりの言葉―文学が紡ぐ科学の歴史【中村靖子】
第I部 啓蒙主義以降の科学とポエジー
第1章 科学的術語の詩的展開—「引力と斥力」「プロトプラズマ」を例として【中村靖子】
第2章 啓蒙の時代の処方箋 近代的疎外を緩和するポエジーホフマン『黄金の壺』を手掛かりに【H・M・シュラルプ】
第II部 20世紀の科学技術と文学の変容
第3章 「キュビスム文学」における科学者の視点と虚構の世界―マックス・ジャコブ『聖マトレル』とブレーズ・サンドラール『モラヴァジーヌ』【松井裕美】
第4章 ゲオルク・ハイムのベルリン風景―技術化される一元論と見せかけの世界【大林侑平】
第5章 「正しい日本」を描くということ―戦間期の「国際映画」製作とテクノロジー【中川拓哉】
第III部 「戦後」を表現する
第6章 ピーノ・パスカーリと虚構の彫刻―一九六〇年代イタリアの芸術における文化的葛藤と呪術的想像力【池野絢子】
第7章 地獄のコウモリダコからビットの世界へ―ヴィレム・フルッサーの円環的思考【越智和弘】
第8章 レベッカ・ホルンの『反時計回りのコンサート』―非在を喚起する場としてのツヴィンガー牢獄【越智和弘】
第IV部 21世紀の文学の射程
第9章 意識の非在―脳の予測的符号化による意識の創発と消失【大平英樹】
第10章 思考実験と虚構世界、仮想世界、可能世界【三浦俊彦】
あとがき―文学と科学の妙なる関係【中村靖子】
執筆者紹介

編者|editor

中村靖子(なかむら・やすこ)
名古屋大学大学院文学研究科教授(ドイツ文学・思想史)
著書に
〔中村靖子/H・M・シュラルプ共編〕『「悪」の文学史―グリム、ホフマン、トラークル、イェリネクを道標として』(日本独文学会研究叢書071巻、日本独文学会、2010年)
〔単著〕『「妻殺し」の夢を見る夫たち—ドイツロマン派から辿る〈死の欲動〉の生態学』(松籟社、2013年)
〔編著〕『虚構の形而上学―「あること」と「ないこと」のあいだで』(春風社、2015年)
などがある。

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