アフリカの森の女たち

文化・進化・発達の人類学

  • ボニー・ヒューレット(著)服部志帆、大石高典、戸田美佳子(訳)/2020年3月
  • 3100円(本体)/四六判並製420頁
  • 装丁:北原和規(UMMM)

「ねえ、聞いて」――ある暑い午後、アメリカから来た人類学者の部屋を訪れた女性たち。少女時代、結婚、出産と子育て、喪失、そして老い――中央アフリカ共和国で隣り合って暮らす農耕民ンガンドゥと狩猟採集民アカの女性たちが人類学者に語る、「女になること」の意味。
女性たちの語りと文化・進化・発達の理論から、人間の多様性と普遍的特性が見えてくる。

「ジャングルで暮らす女の生理と心理を、女の視点から初めて描いたライフヒストリー。自然の中で産む苦難と歓喜が進化の不思議を語る」――山極寿一(京都大学総長)
「日本やアメリカとはまったく異なる注目すべき女性たちについて、魅力的な視点を与えてくれる比類なき本である」――ジャレド・ダイアモンド(『銃・病原菌・鉄』)

(ISBN 9784861106828)

刊行特集ページ

女は文化なのか? 自然なのか?――語りからさぐる人類社会の多様性と普遍性(前半)
女は文化なのか? 自然なのか?――語りからさぐる人類社会の多様性と普遍性(後半)

目次|contents

まえがき
はじめに―岐路に立つ女性の生活
第1章 森と村の世界
コラム リバーサイド・ストーリーズ(大石高典)
第2章 森と村の子どもたち
コラム 観の目の子育て(園田浩司)
第3章 良き人生の諸構成要素
コラム 健康と栄養状態から見る「良き人生」(萩野泉)
第4章 結婚と母親期―厳しくも喜びのある現実
コラム 母になるとき(四方篝)
第5章 女性であることの帰結
コラム 女としての呼び名(戸田美佳子)
第6章 世代間の繋がりと祖母たち
コラム すれ違うふたり(服部志帆)
第7章 結論―グローバリゼーションと変化の力
コラム 衣服への渇望(市川光雄)
日本語で読めるおすすめ本
原注
引用文献
解説 コンゴ盆地に生きる女たちの物語―狩猟採集民をめぐる生活世界の人類学(高田明)
解説 語り、理論、物語―森の女性たちの語りに見られる、人間の普遍的特性としての「共同育児」と「自然の教育」(竹ノ下祐二)
訳者あとがき
索引

著者|author

ボニー・ヒューレット(Bonnie L. Hewlett)
ワシントン州立大学・臨床助教授。ワシントン州立大学博士(文化人類学)。専門は医療人類学、思春期の発達、狩猟採集民、進化=文化人類学。中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、ガボン、エチオピアにおいて現地調査を行い、思春期の発達や感染症の文化的背景、社会的学習、愛着行動、健康などについて研究を行ってきた。主著に、The Secret Lives of Anthropologists: Lessons from the Field (Routledge, 2019)等がある。

訳者|translators

服部志帆(はっとり・しほ)
天理大学国際学部・准教授。京都大学博士(地域研究)。専門は生態人類学、アフリカ地域研究。中部アフリカのカメルーンで狩猟採集民バカの森林利用や民族植物学について、屋久島では狩猟活動の変遷について研究を行っている。主著に、『森と人の共存への挑戦―カメルーンの熱帯雨林保護と狩猟採集民の生活・文化の保全に関する研究』(松香堂書店、2012年)等がある。

大石高典(おおいし・たかのり)
東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター・准教授。京都大学博士(地域研究)。専門は生態人類学、アフリカ地域研究。中部アフリカのカメルーンで、農耕民バクウェレと狩猟採集民バカの生業活動や民族間関係について研究を行っている。著書・編著書に『民族境界の歴史生態学―カメルーンに生きる農耕民と狩猟採集民』(京都大学学術出版会、2016年)、『犬からみた人類史』(勉誠出版、2019年)、『アフリカで学ぶ文化人類学』(昭和堂、2019年)等がある。

戸田美佳子(とだ・みかこ)
上智大学総合グローバル学部・助教。京都大学博士(地域研究)。専門は生態人類学、アフリカ地域研究、障害学。カメルーンの森で暮らす障害者との出会いから、中部アフリカのカメルーンやコンゴで障害者に関する人類学的研究や、アフリカ熱帯林における森林資源利用に関する実践的研究にたずさわっている。主著に『越境する障害者―アフリカ熱帯林に暮らす障害者の民族誌』(明石書店、2015年)等がある。

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