合法性と正当性

ワイマール期におけるカール・シュミット、ハンス・ケルゼンおよびヘルマン・ヘラー

  • デイヴィッド・ダイゼンハウス(著)池端忠司(訳)/2020年3月
  • 4100円(本体)/A5判並製424頁
  • 装丁:長田年伸

合法性は国家をどのように正当化できるのか。
ワイマール憲法下における三者の法理論を詳述し、現代のロールズやハーバーマスらとも比較。その意義と限界を指摘するとともに、英語圏ではほとんど未知であったヘラーの法理論に対する正当な評価を促す。
(ISBN 9784861106866)

目次|contents

1.合法性と正当性:ワイマール期から見たこれらの屈折度
1.1 複数の緊急事態
1.2 ワイマール期:短い紹介
1.3 1932年7月20日のクーデター
1.4 ワイマール憲法第48条と国事裁判所の判決
2.友と敵:シュミットと法の政治
2.1 決断の主権
2.2 国民の意思としての法
2.3 自由主義、議会主義および法実証主義
2.4 ワイマール憲法の護り手とは
2.5 自由主義の地平
2.6 反ユダヤ主義と弁明
3.実践の中の純粋理論:ケルゼンの法科学
3.1 ケルゼンのシュミット批評
3.2 ワイマール憲法第48条に関するケルゼン
3.3 神、国家および民主制
3.4 合法性の原理
3.5 ケルゼンの思想内部の異質性
4.法秩序の正当性:ヘラーの法理論
4.1 国家論の危機
4.2 文化、社会および国家
4.3 国家の正当性と法
4.4 民主制と同質性
4.5 国民の意思の主権的表現としての法
4.6 立憲的制定法の概念
4.7 個人の法的良心
4.8 法秩序の観念
5.ワイマール期からの教訓:合法性の正当性
5.1 正当化理由に関するシュミットとロールズ
5.2 法の民主制的形態に関するハーバーマス
5.3 ヘルマン・ヘラーと、私たちと同時代の政治哲学および法哲学

著者|author

デイヴィッド・ダイゼンハウス(David Dyzenhaus)

カナダの憲法学者・法哲学者。トロント大学教授。オックスフォード大学で博士号を取得しており、主な著作には本書の前作であるHard Cases in Wicked Legal Systems: South African Law in the Perspective of Legal Philosophy (1991)や、Judging the Judges, Judging Ourselves: Truth, Reconciliation and the Apartheid Legal Order(1998)、The Constitution of Law: Legality in a Time of Emergency(2006)がある。そのほか、彼はLaw as Politics: Carl Schmitt’s Critique of Liberalism Hobbes and the Law(1998)の編者であり、Hobbes and the Law(2012)の共同編者である。

訳者|translator

池端忠司(いけはた・ただし)
香川大学法学部を経て、神奈川大学法学部教授。論文に「寛容・コンテクスト・原理―表現の自由と「抑圧的寛容」」(東京大学社会情報研究所編『放送制度論のパラダイム』東京大学出版会、1994年)、「米国における公的文化助成と表現の自由」(『香川大学法学部創設二十周年記念論文集』成文堂、2005年)、「プロイセン対ライヒ事件をめぐるドイツ憲法理論―英語圏のダイゼンハウスの道案内で」(『憲法理論とその展開―浦部法穂先生古稀記念』信山社、2017年)などがある。翻訳に『寛容な社会―アメリカ合衆国における言論の自由と過激派の言論』(春風社、2018年)がある。

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