文化的に生きる権利

文化政策研究からみた憲法第二十五条の可能性

  • 中村美帆(著)/2021年3月
  • 4500円(本体)/A5判上製392頁
  • 装丁:長田年伸

コロナ禍において文化芸術分野がイベント自粛要請の影響を直に受ける中、「不要不急なものとして文化は後回しにされても仕方ないものなのか」「文化は社会にとって必要なのか」という問いが、改めて突き付けられた。
日本国憲法第二十五条第一項には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とある。本書では、文化政策を研究する筆者が、憲法第二十五条を、文化芸術に係る政策を実施する際の理論的基盤である「文化権」という理念の根拠規定として読むことの可能性と課題、そして本条文に「文化」という文言が含まれることの意義を明らかにする。

(ISBN 9784861107245)

目次|contents

図表一覧

はじめに 生存権における「文化」の意義

第一部 憲法第二十五条における「文化」
第1章 憲法第二十五条に関するこれまでの議論と課題

第二部 日本国憲法と「文化」
第2章 憲法第二十五条の成立の経緯
第3章 日本国憲法成立過程における「文化」
第4章 附帯決議「文化国家」概念にみえる敗戦直後の「文化」観

第三部 生存権と「文化」
第5章 戦前の生存権の思想史における「文化」
第6章 憲法第二十五条の「文化」の意義
第7章(結論) 文化政策からみた憲法第二十五条――文化権としての可能性

おわりに 文化と人権

謝辞

参考文献一覧
初出一覧
付表
索引

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。
『文化的に生きる権利』正誤表

著者|author

中村美帆(なかむら・みほ)
専攻・専門は文化政策研究。静岡文化芸術大学文化政策学部准教授。東京大学法学部卒、同大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻博士課程単位取得満期退学、博士(文学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)、静岡文化芸術大学講師を経て、現職。
著作に「文化国家」「文化権」(小林真理編『文化政策の現在1 文化政策の思想』東京大学出版会、二〇一八年)、「文化政策とソーシャルインクルージョン―社会的包摂あるいは社会包摂」(小林真理編『文化政策の現在2 拡張する文化政策』東京大学出版会、二〇一八年)、「文化政策と法」(小林真理編『文化政策の現在3 文化政策の展望』東京大学出版会、二〇一八年)など。

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