聖ヤコブ崇敬とサンティアゴ巡礼
中世スペインから植民地期メキシコへの歴史的つながりを求めて
- 田辺加恵、大原志麻、井上幸孝(著)/2022年3月
- 4000円(本体)/四六判並製360頁
- 装丁:毛利一枝
聖ヤコブ崇敬はいかに生成され、いかに各地へと伝わったのか
イベリア半島における聖ヤコブ崇敬の始まりとラテンアメリカでの展開について、図像やサンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼も考察しながら歴史的経緯の一端を明らかにするとともに、中世スペインと植民地時代メキシコまでの時間・空間を一つの流れの中で描き出す。
(ISBN 9784861107856)
目次|contents
序章 聖ヤコブ崇敬をめぐる歴史的文脈と本書のアプローチ(田辺加恵・井上幸孝)
第1章 スペインにおける聖ヤコブ崇敬およびサンティアゴ巡礼の始まり(田辺加恵)
第2章 サンティアゴ巡礼の最盛期―聖ヤコブの騎士化とその影響(田辺加恵)
コラム① 聖ヤコブ図像の三類型
コラム② ラテンアメリカ各地のサンティアゴ表象
コラム③ メキシコの聖ヤコブ表象
第3章 後期中世におけるカスティーリャ王権と「サンティアゴ政策」の衰退(大原志麻)
第4章 ヌエバ・エスパーニャのサンティアゴ崇敬におけるカスティーリャ貴族同盟の役割(大原志麻)
コラム④ 現代のサンティアゴ巡礼
コラム⑤ サンティアゴ巡礼路と熊野古道
第5章 メキシコ征服と聖ヤコブ―クロニカにおける聖ヤコブ出現の記述を中心に(井上幸孝)
第6章 メキシコ先住民にとっての聖ヤコブ崇敬―征服以降の受容の実態をめぐって(井上幸孝)
著者|authors
田辺加恵(たなべ かえ)
立命館大学経済学部教授。スペイン中世史。
主な著作に、「13世紀の史料にみる聖ヤコブ崇敬の変容」(『スペイン史研究』第33号、2019年)、「『世界年代記』における「マタモロス」聖ヤコブと「ヒスパニア」」(『東海大学国際教育センター紀要』第38輯、2018年)、「「マタモロス聖ヤコブ」像の形成とその戦略的利用」(『スペイン史研究』第30号、2016年)。
大原志麻(おおはら しま)
静岡大学人文社会科学部教授。西洋中世史。
主な著作に、Expresiones del poder en la Edad Media. Homenaje al profesor Juan Antonio Bonachía Hernando(共著、Universidad de Valladolid、2019年)、『翻訳とアダプテーションの倫理―ジャンルとメディアを越えて』(共著、春風社、2019年)、Castilla y el mundo feudal. Homenaje al profesor Julio Valdeón(共著、Junta de Castilla y León, Consejería de Cultura y Turismo 、2009年)。
井上幸孝(いのうえ ゆきたか)
専修大学国際コミュニケーション学部教授。メキシコ史・メソアメリカ史。
主な著作に、『ビジュアル図解 マヤ・アステカ文化事典』(日本語版監修、柊風舎、2020年)、『人間と自然環境の世界誌―知の融合への試み』(共編著、専修大学出版局、2017年)、『メソアメリカを知るための58章』(編著、明石書店、2014年)。