予測と創発

理知と感情の人文学

  • 中村靖子(編)/2022年11月
  • 4500円(本体)/四六判上製506頁
  • 装丁:長田年伸

理性に対する感情の復権は、いかに人文学の世界を拡張してきたのか?
ドイツ文学、フランス文学、インド哲学、美術史、応用数学、感情史、心理学などの諸分野を横断し「予測と創発」をめぐり思考する11の刺激的論考。

(ISBN 9784861108365)

目次|contents

はじめに

第Ⅰ部 潜伏と共鳴
第1章 記憶が出現するとき——フロイトの「心理学草案」の今日(中村靖子)
第Ⅱ部 規範と感情
第2章 因果応報と運命——予測が意味をなさない世界における行為規範(岩﨑陽一)
第3章 フォンターネの『セシールの秋』における観察・推測・感情−−現実構成を導く基礎的情動状態(H・M・シュラルプ)
第4章 尋問、モラル・エコノミー、罰の不公平な配分―ディディエ・ファッサンによる国家の抑圧装置に関する研究を手がかりに(平田周)
第Ⅲ部 予測と反復――錯綜する時間
第5章 予期と驚き――ヴァレリーの考察と詩作(鳥山定嗣)
第6章 失われた芸術作品の再構築——クルト・シュヴィッタース《メルツバウ》をめぐって(池野絢子)
第7章 遅れと予測――過去からの逆襲(大平徹)
第Ⅳ部 モデルをめぐる感情の動態
第8章 新種発見の感情史—―「鳥学共同体」における栄誉と名誉(伊東剛史)
第9章 前衛美術と感染のアナロジー――発見装置としての「モデル」の機能(松井裕美)
第10章 私を理解し表現する人工知能(山本哲也)
第Ⅴ部 モデルと創発
第11章 予測により創発される心性(大平英樹)

結びの言葉
執筆者紹介

編者|editor

中村靖子(なかむら・やすこ)
名古屋大学大学院文学研究科教授。専門はドイツ文学・思想史。
著書に
〔中村靖子/H・M・シュラルプ共編〕『「悪」の文学史―グリム、ホフマン、トラークル、イェリネクを道標として』(日本独文学会研究叢書071巻、日本独文学会、2010年)
〔単著〕『「妻殺し」の夢を見る夫たち―ドイツロマン派から辿る〈死の欲動〉の生態学』(松籟社、2013年)
〔編著〕『虚構の形而上学―「あること」と「ないこと」のあいだで』(春風社、2015年)、『非在の場を拓く―文学が紡ぐ科学の歴史』(春風社、2019年)
などがある。

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