異次元夢旅行

宮沢賢治のリアルをはしる

  • 白石秀人/2004年4月
  • 2200円(本体)/四六判・228頁

これまでタブー視されてきた賢治論に、果敢にいどむ! 臨床心理士の立場からカウンセリングの現場を踏まえ、賢治の生涯と作品を読み解く。世界がひらかれる瞬間にひらく「いのちの不思議」に打たれた著者畢生の宮沢賢治論。
(ISBN 4921146993)

目次|indexs

第一章 賢治の生涯
一、賢治を取り巻いていたもの
二、風土について
三、時代について
第二章 賢治とトシ
一、修羅のなかで
二、兄と妹
三、妹の影響
四、恋人のような関係
五、妹ばなれ
六、トシの死
七、彼方へ
第三章 他者のまなざし
一、目に見えない暴力
二、広い世界へ
三、賢治童話の特徴
四、豚の気持ち
五、もう一つの視点
六、まことの関係
七、等価のいのち
八、選択の自由
九、デクノボウとして
第四章 まことのさいわい
一、これからの宮沢賢治
二、賢治文学の成長
三、明るさの神秘
四、イーハトーヴ
五、デクノボウ
第五章 「やまなし」―「いのち」がひらかれ、息づき、育つまで―
一、はじめに
二、あらすじ
三、ストーリーの分析
四、おわりに
第六章 「銀河鉄道の夜」―「ほんとうの自分」を追い求めて―
一、はじめに
二、あらすじ(最終形)
三、ストーリーの分析
四、おわりに

著者|author

白石秀人(しらいし・ひでと)
臨床心理士。横浜国立大学、同大学大学院修士課、中京大学大学院博士課程において、臨床心理学を学ぶ。その後、中京大学文学部助手、愛知みずほ大学専任講師を務めながら、心理相談室や学校のカウンセラーを兼務。2001年より、「白石心理オフィス」を開業。2002年1月、死去。

担当編集者から

師匠・安原顯さんから「好きな日本の作家」3人あげなさい、と、いわれたことがある。
宮沢賢治、夢野久作、中里介山の3人をあげた。安原さん、言下に、「みやざわけんじだ~~~!?」といわれた。波長が合わないのだそうだ。
ぼくは逆に、とても波長が合う。たとえば、「フランドン農学校の豚」で、豚が前足をキクッと折るシーンを読むと、ああ、たしかに、豚が前足を折るときはキクッとやるよなあと感心してしまう。
ということで、わたくし、賢治大好き人間としては、興味津々でこの原稿を読み始めた。すると、多くのいわゆる<賢治本>と異なり、この著者は、賢治を遠くから眺めて評論するというよりも、賢治を、生き、走っている、という姿がくっきり眼に浮かんだ。だから、タイトルを『異次元夢旅行―宮沢賢治のリアルをはしる』とした。
著者の白石さんは、惜しくも、2002年1月、交通事故で亡くなられた。[-三浦-]

 

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