ユダヤ人として生きる

幼児期にホロコーストを経験したアンガー教授の回想録

  • イズラエル・アンガー、キャロライン・ギャモン(著)、仁木久恵(訳)/2023年7月
  • 2700円(本体)/A5判並製354頁
  • 装丁:矢萩多聞

アンネ・フランクの隠れ家は私たちの部屋に比べれば「宮殿」のようだったが、私たちのほうがはるかに恵まれていた。密告する人がいなかったから。(本文より)

5歳~7歳の時期に隠れ家で過酷な生活を送り、さまざまな差別や偏見と向き合いながら歩んできた化学者の人生を綴る。入念な調査資料・目撃証言が体験談を裏付け、貴重な写真が歴史的事実を突きつける。勇気、愛、正義、平和への願いがこもる力強い物語。

(ISBN 9784861108839)

主な内容|contents

ポーランドに生き残った数少ないユダヤ人
「住み替え」作戦と称する粛清/隠れ家生活/ソ連兵の軍靴にキス
無国籍者になって
キエルツエのユダヤ人迫害―頭に負った裂傷/「孤児」になってポーランド出国/チャーリーとシドニーに名前を変えてロンドン生活
家族でカナダに移住
「おまえに、命(いのち)を二度も与えたんだよ」―父の口癖/カナダの市民権取得/苦学生時代と反ユダヤ主義
化学者になって
テキサス大学で光化学の研究/父の死―筋萎縮性側索硬化症/カナダのおかげで得た活躍の場
ホロコーストの語り部―妻マリーンと二人三脚
チャーリー―父親と同じ病魔に冒されて/ホロコースト否定論者との闘い/ホロコーストの語り部として
「僕の名前はスルリク」―幼児期の体験を振り返って
隠れ家に食料を運んでくれたスコルパ/親族のための墓碑/隠れ家で一緒に暮らした姉妹との再会/ホロコーストがその後の人生に与えた影響の有無

著者|authors

イズラエル・アンガー(Israel Unger)
1938年生まれ。幼い頃、ナチスドイツ占領下のポーランドで、2年間にわたり屋根裏部屋の狭い空間で怯(おび)えながら暮らす。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)から生き延び、戦後は各地を転々として、最終的にカナダに移住し、カナダ市民権を得る。ニューブランズウィック大学で博士号(化学)を取得。長年にわたり、教育と研究に携わり、ニューブランズウィック大学理学部の学部長を務め、名誉学部長の称号を得る。学術論文の執筆多数。ホロコースト体験を伝える語り部として各地で講演を行う。

キャロライン・ギャモン(Carolyn Gammon)
カナダ、ニューブランズウィック州生まれ。コンコーディア大学(モントリオール)卒業。専攻は文学と創作(クリエイティブ・ライティング)。1991年ドイツに渡り、ユダヤ人の生活やホロコーストに特化した案内役を務める。著書にJohanna Krause-Twice Persecuted-Surviving Nazi Germany and Communist East Germany (Wilfrid Laurier University Press: Christiane Hemkerと共著)。その他、詩・評論など多数。現在ベルリン在住。

訳者|translator

仁木 久恵(Hisae NIKI)
津田塾大学卒業後、テキサス大学大学院に留学し、修士号取得。津田塾大学博士課程修了。専攻は英米演劇と英語教育。津田塾大学非常勤講師、NHK基礎英語講師、聖路加国際大学教授、明海大学教授などを経て、明海大学名誉教授。著書にShakespeare Translation in Japanese Culture(Kensei-Sha)、『漱石とハムレット』(リーベル出版)。訳書に『平静の心』(医学書院:日野原重明と共訳)などがある。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する