アンティコニ

北米先住民のソフォクレス

  • ベス・パイアトート(著)/初見かおり(訳)/2024年2月予定
  • 1950円(本体)/四六判並製154頁
  • 装丁:中本那由子

北米先住民ネズパース族とカイユース族の血を引く娘アンティコニが、ワシントンDCの博物館から祖先の遺骸を盗み出した、その顛末を語る現代の新たな神話―――
先住民と近代知(サイエンス)をめぐる暴力、囚われ、責任を、ギリシア悲劇の翻案によって描き出す。
さまざまな息づかいが感じられる、原文・翻訳併記。

「読者のあなたは、本作の中のどこにいるだろうか」(石原真衣・前口上より)

「死者たちを幽閉すれば、生者たちも囚われ人となる」と、盲目のティウェート(シャーマン)のテイレシアースが言う。死者たちを幽閉してきたサイエンスがこれまで問われてこなかった。問われるまでに、あまりにも長い時間がかかりすぎた。(初見かおり・訳者解題より)

(ISBN 9784861109133)

目次|contents

前口上 21世紀の神話的空間――古代ギリシャ悲劇から北米先住民文学、そして名前のない暴力へ(石原真衣)

アンティコニ

訳者解題
参考文献
訳者あとがき

著者|author

ベス・パイアトート(Beth Piatote)
カリフォルニア大学バークレー校・准教授(比較文学部、英文学部)。専門は先住民の文学と法。研究者、作家、活動家/ヒーラー。フィクション、詩、戯曲、エッセーなど多数。アメリカ先住民諸語、特にネズパース語とネズパース文学の復興に携わる。
著書に『Domestic Subjects: Gender, Citizenship, and Law in Native American Literature(ドメスティックな主体:アメリカ先住民文学におけるジェンダー、市民権、法)』(Yale University Press, 2013)や本劇「アンティコニ」が収録されている『The Beadworkers: Stories(ビーズ職人:物語)』(Counterpoint, 2019)など。

訳者|translator

初見かおり(はつみ かおり)
西南学院大学・准教授(外国語学部外国語学科)。専門は文化人類学。民族誌の記述と倫理に関心がある。
著書に『ハレルヤ村の漁師たち:スリランカ・タミルの村 内戦と信仰のエスノグラフィー』(左右社、2021)、論文に「Beyond Methodological Agnosticism: Ritual, Healing, and Sri Lanka’s Civil War」(方法論としての不可知論を超えて)(The Australian Journal of Anthropology、2017)など。

著者(前口上)|author(preface)

石原真衣(いしはら まい)
北海道サッポロ市生まれ。アイヌと琴似屯田兵(会津藩)のマルチレイシャル。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在は、北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授。文化人類学、先住民フェミニズム。
著書に 『〈沈黙〉の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー):サイレント・アイヌの痛みと救済の物語』(北海道大学出版会、2020年、大平正芳記念賞受賞)、『アイヌがまなざす(仮題)』(村上靖彦との共著、岩波書店、2024年近刊)など。

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