迫る危機、選択する力
バングラデシュのマイクロファイナンス事業を通じた女性のエンパワメント再考
- 本間まり子(著)/2026年3月
- 4500円(本体)/A5判並製388頁
- 装丁:中本那由子
ジェンダーと開発におけるジレンマに挑む
伝統的なジェンダー規範の下でマイクロファイナンスの融資金を男性に渡しつづけるバングラデシュの女性たちに、コロナ禍を挟んだ二時点にわたって聞き取り調査を実施。
世帯内交渉と経済活動における戦術から個々の女性たちの「選択する力」をとらえ、その連鎖が、女性が弱い立場にあるジェンダー構造の変化へと波及していく様相を示す。
(ISBN9784868161295)
目次|Contents
凡例
バングラデシュ地図
序章 ジレンマに挑む
◇第一部 ジレンマの所在の探求
第1章 ジレンマの所在
1.1. 開発事業を通じた女性のエンパワメントというジレンマ
1.1.1. 国際開発政策における女性のエンパワメント
1.1.2. 政策目標としての女性のエンパワメントをめぐる議論
1.2. バングラデシュのマイクロファイナンス事業におけるジレンマ
1.2.1. バングラデシュの女性たちの置かれている状況
1.2.2. バングラデシュのマイクロファイナンスが抱えるジレンマ
第2章 選択する力を捉える枠組み
2.1. マイクロファイナンス事業を利用する女性たちの選択する力を捉える試み
2.1.1. 女性たちの姿を論じる先行研究のレビュー
2.1.2. 本書のアプローチ
2.2. 事例調査の概要
2.2.1. 対象地域の概況
2.2.2. フィールド調査の概要
◇第二部 選択する力の所在の探求
第3章 マイクロファイナンス事業を利用する女性たち
3.1. 調査対象となった女性たち
3.1.1. 女性たちの概況
3.1.2. 女性たちによる経済活動
3.2. マイクロファイナンス事業の利用状況
3.2.1. マイクロファイナンス事業への加入状況
3.2.2. 融資サービスの利用状況
第4章 女性たちによる世帯内交渉
4.1. 融資金を男性のビジネスに投資している女性たちの交渉
4.1.1. 女性自身は経済活動に関わっていない事例
4.1.2. 女性自身も経済活動に従事している事例
4.2. 融資金を男性ビジネスに投資していない女性たちの交渉
4.2.1. 女性自身のビジネスへの投資事例
4.2.2. ビジネスには投資していない事例
第5章 世帯内交渉にみる女性たちの選択する力
5.1. 事業の利用と世帯内交渉の関係
5.1.1. 明示化された交渉内容と戦術の特徴
5.1.2. 融資金の用途や女性の経済活動と世帯内交渉の関係
5.2. 女性たちの選択する力の所在
5.2.1. 文脈に基づく交渉内容と戦術の特徴
5.2.2. ジェンダー関係やパルダ規範による制約を乗り越える交渉
◇第三部 選択する力の変化のプロセス
第6章 コロナ禍を乗り越えた女性たち
6.1. コロナ禍の影響と女性たちの概況の変化
6.1.1. バングラデシュにおけるコロナ禍対策とその影響
6.1.2. コロナ禍の女性たちの事業の利用への影響
6.2. コロナ禍後の女性たちのマイクロファイナンス事業の利用状況
6.2.1. 自然村S(都市部)の女性たちの利用状況
6.2.2. 自然村D(農村部)の女性たちの利用状況
第7章 女性たちの選択する力の変化
7.1. コロナ禍後の女性たちによる経済活動
7.1.1. 経済活動に従事する女性たちの概況
7.1.2. 女性たちの経済活動にかかるパルダ規範の解釈や実践の変化
7.2. 女性たちのエージェンシーからみた選択する力の変化
7.2.1. コロナ禍を乗り越えた女性たちの選択する力の変化とは
7.2.2. 女性たちの選択する力の変化のプロセスとは
終章 ジレンマは解消したのか
あとがき
参考文献
用語集
図表・BOX・写真一覧
添付資料集
索引
著者|Author
本間まり子(ほんま・まりこ)
博士(社会学)
青年海外協力隊(JOCV)、国際協力機構(JICA)、国際労働機関(ILO)、開発コンサルタント会社などを経て現職 早稲田大学社会科学総合学術院 講師
