バルザック研究アラカルト

コントから小説の方へ

  • 谷本道昭(著)/2024年10月
  • 4000円(本体)/四六判上製424頁
  • 装丁:長井究衡

「人間喜劇」の作者バルザックとして固定化、伝説化してきた作家像によって覆い隠された姿に目を向け、その形象を浮かび上がらせる。

「誰もが知る文豪を生まれ変わらせる。そんな大それた企図が、最先端の学知を駆使しつつ、愉悦に満ちた筆致によって成し遂げられたのだから、これはもう脱帽するほかはない」(野崎 歓/フランス文学者)

(ISBN 9784861109676)

目次|Contents

はじめに
第一部 コント文学とバルザック
第一章 『最後の妖精』を読む――「妖精譚」の読者/著者バルザック
第二章 若返りの泉――ラ・フォンテーヌの読者バルザック
第二部 コントの作者バルザック
第三章 コントの作者バルザックと初版『あら皮』
第四章 『哲学的コント集』をひもとく
第五章 「コントのような会話」のために――『コント・ブラン』と『新哲学的コント集』
第六章 『コントの理論』――バルザックからバルザックへ
第三部 小説の方へ
第七章 バルザックとパリの泥――『金色の眼の娘』『ゴリオ爺さん』『シビレエイ』
第八章 『ゴリオ爺さん』〈ボーセアン夫人の最後の舞踏会〉をめぐって――「罪を犯した女たち」と人物再登場法
第九章 拒絶された手紙――書簡=小説としての初版『谷間の百合』
第十章 花の小説/小説の花――初版『谷間の百合』再読
あとがき
文献一覧

著者|Author

谷本道昭(たにもと・みちあき

1980年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了・博士課程単位取得退学、パリ第七大学修士・博士(テクストとイマージュの歴史と記号学)。現在、東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻准教授。専門はバルザックを中心とする19世紀フランス文学と出版文化。共著に『フランス文学を旅する60章』(明石書店)、Lire, voir, penser l’œuvre de Jean-Philippe Toussaint(Impressions nouvelles)。共訳にアンドレ・バザン『映画とは何か』(岩波書店)。論文に「二つの裁判とそのクロニック」(明治大学『人文科学論集』)、「文学的偽装」(東大比較文學會『比較文學研究』)など。本書が初の単著となる。

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