フランツ・カフカ 創作と流れ、〈あなた〉との出会い

  • 三根靖久(著)/2024年11月
  • 7000円(本体)/A5判上製512頁
  • 装丁:毛利一枝
  • 装画:揚妻博之

創造的であるためには、
作家は常に勤勉でなければならず、安逸な幸福を排除して生きなければならない。『判決』のゲオルク・ベンデマンは、人生をかけて事業に挑むこともなく小市民的幸福を選ぼうとしたことにより、父から罰せられた。

(…)カフカは“書くこと”を強く希求しているが、その“書くこと”は、ときに無慈悲な掟として作者にのしかかる。(本文より)

(ISBN 9784861109942)

目次|Contents

第一部 創作と流れ
Ⅰ 形象と隠喩
1 創作をめぐるカフカの形象表現に関する先行研究
2 隠喩論

Ⅱ 創作をめぐるカフカの隠喩―『判決』以前と以後―
1 “僕は高揚している間だけ良いものを考え出す”―『判決』までの日記―
2 “書くことは深いところに重心がある”―『機関助士』以降の日記と手紙―

Ⅲ 出口のない“流れ”
1 朝の交通に遅れた者たち―『失踪者』と『変身』―
2 階段を上り続ける者たち―『審判』と『狩人グラックス』―

Ⅳ ‶書くこと″と内省
1 よそ者と女たち―『城』―
2 物思いにふける動物たち―『ある犬の研究』と『巣穴』―

第二部 〈あなた〉との出会い
Ⅴ もう一つの転機
1 一九一一年の日記
2 架空の語り手と架空の受け手

Ⅵ ‶お前と世界との戦いでは、世界の味方をしろ″
1 語り手の眼差し―『新人弁護士』―
2 語り手への眼差し―『ある学士院への一通の報告書』―
3 〈小さな文学〉の誕生

Ⅶ 語っているのは誰なのか―『断食芸人』、『最初の苦悩』、『小さな女性』―
1 匿名の語り手―『最初の苦悩』と『断食芸人』―
2 つきまとわれる語り手―『小さな女性』―

Ⅷ 彼女が〈私たち〉と言うとき
1 生前発表作品における〈私たち〉の転換
2 カフカの創作ノートに残された〈私たち〉
3 〈私たち〉の小さな音楽―『歌手ヨゼフィーネもしくはネズミ族』―

結論
あとがき
参考文献
索引

著者|Author

三根靖久(みね・やすひさ

1983年生まれ。
2006年東京外国語大学卒業。
2019年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。
現在、中央大学経済学部兼任講師。

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