大地の文学

[増補]賢治・幾多郎・大拙

  • 小野寺功/2004年10月
  • 2800円(本体)/四六判・328頁

「風のモナドロジー」へ― 京都学派の哲学を媒介に賢治文学を「思想」として読み替える。詩作と思索の出会いによって、アニミズムを超えた「存在詩」が立ち現れる稀有の瞬間を記す新論考「賢治の霊性文学」を加えた増補決定版。
日本図書館協会選定図書
(ISBN 4861100194)

目次|indexs

序論
大地の文学・大地の思想―私の宮沢賢治論
第一部 大地の詩
イーハトーヴ・詩と哲学の根源
啄木と賢治の軌跡
『遠野物語』考
東北の風土と高村光太郎
第二部 日本的霊性とキリスト教
鈴木大拙と日本的霊性
ドストエフスキーとニーチェ―精神の逆対応
日本の神学を求めて―大地の思想家たちとの出会い
第三部 現代日本におけるキリスト教の問題
吉満義彦と遠藤周作をめぐって
出会いの世紀へ―仏教とキリスト教
補遺 新世紀の風
賢治の霊性文学

著者|author

小野寺功(おのでら・いさお)
1929年岩手県に生まれる。上智大学大学院哲学研究科修了。
清泉女子大学名誉教授。
主な著書『大地の哲学』(三一書房、1983年)、『大地の神学―聖霊論』(行路社、1992年)、『絶対無と神―京都学派の哲学』(春風社、2002年)、『聖霊の神学』(春風社、2003年)

担当編集者から

ぼくにとって哲学の第一義は「明晰」である。哲学とは炭鉱を掘り進むようなものだ。硬い岩盤を砕き、光を差し入れ、形なきものを白日のもとにさらす。明晰を尊ぶフランス哲学に強い憧憬を憶える。
しかし明晰だけでは面白くない。岩盤が打たれる瞬間、ハンマーと岩が立てる火花、鉄と岩との接触面、これが思考の現場である。ニーチェや後期ハイデガーなどドイツの哲学者がスリリングなのは、闇の深さと、闇を引き裂くその手つきゆえだ。
さて本書『大地の文学』は、コールタールみたいなどろどろの暗闇に満ちている。どろどろとどう闘うか。闇をうがつ炭鉱夫の仕事ぶり、堪能してください![-内藤-]

 

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