
幸田露伴の「知」の世界
- 西川貴子(著)/2025年2月
- 4800円(本体)/四六判上製324頁
- 装丁:毛利一枝
露伴にとって、「文章を作る」ということは「境界」をなくし、「広い」「茫漠として分らぬ」世界を作ることに他ならないという意識があったことがわかる。「いさなとり」に内包される「知」と「力」の錯綜のありようには、露伴の求めた「広い」「茫漠として分らぬ」世界の一端を観ることができる。(本文より)
(ISBN 9784861109874)
目次|Contents
凡例
はじめに――書を読むは猶文を作るが如し
第一部 「制度」からの逸脱
第一章 「法」と「幽霊」―「あやしやな」
第二章 「美術」の季節―『風流仏』
第三章 錯綜する「知」と「力」―「いさなとり」
第二部 合理的ならざるものへの眼差し
第四章 伝説と現実―「新浦島」
第五章 〈煩悶、格闘〉する詩人―「心のあと 出廬」
第六章 「詩」の行方―「天うつ浪」
第三部 「幻」をめぐる談し
第七章 「移動」と「境界」―「観画談」
第八章 「境界」に挑む者たち―「魔法修行者」
第九章 〈言〉をめぐる物語―「平将門」
第十章 香から広がる世界―「楊貴妃と香」
むすび
〔資料編〕
初出一覧
あとがき
人名索引
著者|Author
西川貴子(にしかわ・あつこ)
東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。同志社大学文学部教授。専門は日本近現代文学。主な著書は、『建築の近代文学誌――内地と外地の西洋表象』(共編著、勉誠出版、2018年)、『日本文学の見取り図――宮崎駿から古事記まで』(共編著、ミネルヴァ書房、2022年)など。論文に「紙上映画という試み――懸賞映画小説「霊の審判」を読む」(『人文学』2022年)、「戦略としての「実話」――橘外男「博士デ・ドウニヨールの「診断記録」」に見る仕掛け」(『小説のフィクショナリティ――理論で読み直す日本の文学』高橋幸平・久保昭博・日高佳紀編、ひつじ書房、2022年)などほか多数。