声を聴くこと

ゆらぎと気配の弁証法

  • 声の主体による文化・社会構築研究会(代表・間瀬幸江)(編)/2025年10月
  • 3500円(本体)/四六判並製316頁
  • 装丁:中本那由子

私は ここに います/いました
戦争、飢饉、災害、性暴力――災いを語ることも、それを聴くことも、難しい。社会に聴かれぬ人々がさらに透明化されてもなお、その声を聴くための視点を、文学・歴史学・哲学・演劇学・社会学など複数の領域から論考・エッセイの形態で多角的に提示する。
(ISBN9784868160502)

目次|Contents

はしがき 【間瀬幸江】

1.[論考]
「私」をめぐる問い――第一世代の戦争体験を書く第三世代の作家、フランソワ・ヌーデルマンとアンヌ・ベレスト 【國枝孝弘】
2.[エッセイ]
静かにささやく声が聞こえた 【栗原健】
3.[論考]
言葉と辞書の時代性――大槻文彦『言海』を読む 【菊池勇夫】
4.[エッセイ]
翻訳者の視点から――沈黙を見る 行間を読む 【永田千奈】
5.[論考]
証言における真理と倫理の交差 【越門勝彦】
6.[エッセイ]
建築計画学から考える 【石井敏】
7.[論考]
『シャイヨの狂女』再読のアルケオロジー 【間瀬幸江】
8.[エッセイ]
一つの史料から 【菊池勇夫】
9.[論考]
遊びとして押し寄せる子どもの声――支援者のゆらぎと「余白の時間」  【安部芳絵】
10.[公開シンポジウム「声の気配(けはい)を聴く」レスポンス]
声を聴く私たちと、その複数性について――アフガニスタン記念碑(ヴィクトリア)、帝国戦争博物館(ロンドン) 【酒井祐輔】
11.届けられた声――シンポジウム来場者アンケートから 【間瀬幸江】
「声の気配」を聴くことは、みずからの声の輪郭をも描き直す営みである――あとがきにかえて 【間瀬幸江】

あとがき
用語解説
初出一覧
文献
図表一覧
索引
謝辞

編者|Editor

声の主体による文化・社会構築研究会

國枝孝弘(くにえだ・たかひろ)
◆フランス文学・言語表現論・フランス語教育/慶應義塾大学教授
主要業績:「ことばは現実をどのように『すくいとるか』――体験・共感・言葉の所有」(宮代康丈・山本薫編『言語文化とコミュニケーション(シリーズ総合政策学をひらく)』慶應義塾大学出版会、2023)ほか。

栗原健(くりはら・けん)
◆宗教文化・ドイツ史/宮城学院女子大学准教授
主要業績:Celestial Wonders in Reformation Germany(Pickering & Chatto, 2014)ほか。

菊池勇夫(きくち・いさお)
◆日本近世史(東北・北海道史)/宮城学院女子大学名誉教授
主要業績:『江戸時代の災害・飢饉・疫病――列島社会と地域社会のなかで』(吉川弘文館、2023)、『近世の気象災害と危機対応――凶作・飢饉・地域社会』(吉川弘文館、2024)ほか。

永田千奈(ながた・ちな)
◆フランス語翻訳者
主要業績:シュペルヴィエル『海に住む少女』(光文社古典新訳文庫、2006)、マッコルラン『悪意』(国書刊行会、2021)などの幻想文学のほか、ノンフィクションなど訳書多数。

越門勝彦(こえもん・かつひこ)
◆哲学・倫理学/明治大学教授
主要業績:『省みることの哲学――ジャン・ナベール研究』(東信堂、2007)、『現代フランス哲学入門』(川口茂雄・越門勝彦・三宅岳史編著、ミネルヴァ書房、2020)ほか。

石井敏(いしい・さとし)
◆建築学(建築計画)/東北工業大学教授
主要業績:「自立した暮らしを支える高齢期の住宅」「地域居住を支えるサービスハウスとサービスセンター」(北欧環境デザイン研究会編『北欧流「ふつう」暮らしからよみとく環境デザイン』彰国社、2018)、「環境の整備」(太田貞治・上原千寿子・白井孝子編『介護福祉士実務者研修テキスト 全文ふりがな付き(こころとからだのしくみ)』第4巻、中央法規、2023)ほか。

間瀬幸江(ませ・ゆきえ)
◆フランス両大戦間期演劇/宮城学院女子大学教授
主要業績:『小説から演劇へ――ジャン・ジロドゥ 話法の変遷』(早稲田大学出版局、2010)、「『ルクレチアのために』の今日的意義――暗闇の中の手つかずの可能性」(澤田直、ヴァンサン・ブランクール、郷原佳以、築山和也編『レトリックとテロル―ジロドゥ/サルトル/ブランショ/ポーラン(日仏会館ライブラリー 3)』水声社、2024)ほか。

安部芳絵(あべ・よしえ)
◆こども環境学・教育学・子どもの権利論/工学院大学教授、世田谷区子どもの人権擁護機関委員
主要業績:『災害と子ども支援――復興のまちづくりに子ども参加を』(学文社、2016)、『子どもの権利条約を学童保育に活かす(そこが知りたい学童保育ブックレットシリーズ4)』(高文研、2020)ほか。

酒井祐輔(さかい・ゆうすけ)
◆イギリス文学/宮城学院女子大学准教授
主要業績:共編著『キーワードで読むヴァージニア・ウルフ――作品も作家もこの一冊で!』(小鳥遊書房、2025年刊行予定)、「ブルームズベリーのリベラルはコミュニティの夢を見たか?――ソサエティ、コミュニティ、ネーションの重複問題」(『遍在するソーシャリズム――長い20世紀の文化研究』小鳥遊書房、2025年刊行予定)ほか。

この本を注文する

Amazonで注文する 楽天ブックスで注文する 版元ドットコム