柑橘の文化史
- 花木宏直(著)/2026年2月
- 4500円(本体)/A5判上製314頁
- 装丁:長田年伸
蜜柑を手で剥いて食べる、が当たり前でなかった時代。
柑橘という果実の変遷をたどることで、日本人の味覚や価値観の転換を捉え、生産・流通・消費が織りなす農業の近代化を描きなおす。
かつて日本の柑橘の主力は、種が多く小ぶりな「小蜜柑」であり、単なる甘味の嗜好品ではなく、未熟果を酢の代用に、皮を薬種に、あるいは儀礼や観賞用にと、熟度に応じて使い分ける多面的な存在であった。そこからどのようにして、温州蜜柑が「国民的果実」へと登り詰めたのか?
(ISBN 9784868161011)
目次|contents
Ⅰ.序論
1部 小蜜柑から温州蜜柑へ
Ⅱ.近世前期における温州蜜柑普及以前の柑橘利用―薩摩藩領を事例に―
コラム① 小蜜柑の現在
Ⅲ.近代移行期における温州蜜柑の普及と柑橘利用の変化―紀北・泉州地方を事例に―
コラム② 温州蜜柑の多様性
Ⅳ.近代移行期における柑橘苗木の導入と寺社参詣
コラム③ 現代に残る九年母
2部 温州蜜柑の普及とその影響
Ⅴ.近代前期における温州蜜柑の海外輸出とネーブルオレンジの導入
コラム④ ネーブルオレンジとレモンの関係
Ⅵ.近代前期における柑橘在来種の発見と武家屋敷の庭園の役割
コラム⑤ 夏橙と甘夏の利用史
Ⅶ.近代前期における蜜柑山見物にみる柑橘園に対する認識
コラム⑥ 香酸柑橘とサンズ(ヘイベイス・ヘベス)について
3部 柑橘栽培と柑橘利用の地域的展開
Ⅷ.静岡県田方郡における柑橘栽培と柑橘利用の展開―温州蜜柑に対する認識の変化に注目して―
コラム⑦ みかん缶詰と冷凍みかん
Ⅸ.鹿児島県における柑橘栽培と柑橘利用の展開―中国大陸・台湾産外来種の動向に注目して―
コラム⑧ 文旦の生食化と産地の変化
Ⅹ.結論
あとがき
参考文献・ホームページ
索引
著者|author
花木宏直(はなき・ひろなお)
関西学院大学・教授
歴史地理学
主な著作に,『沖縄出身移民の超域的移動―南洋群島・南米・日本を往来するブラジル移民青年隊員―』(風響社,2025年),『離島研究Ⅴ』(共著,海青社,2024年),『生活文化の地理学』(共著,古今書院,2019年)。
