サンベルナルド
- グラシリアノ・ハーモス(著)、岐部雅之、フェリッペ・モッタ(訳)/2026年3月
- 3200円(本体)/四六判上製234頁
ブラジル北東部、サンベルナルド農園。狡猾な策略と暴力でのし上がり、地主となった男による孤独と悔恨の独白。貧困、支配、嫉妬を映した20世紀ブラジル地方文学の金字塔。
馬齢を重ねた。聖ペドロの日の前後に五十歳を迎えた。救いの余地のない五十年、目的もなく浪費した五十年。自らを傷つけ、他人を傷つけて来た歳月である。その果てに、私は冷淡となり、非情となった。この分厚い皮膚を貫く傷などではなく、心の内奥の鈍い感覚を苦しめるのだ。(本文より)
(ISBN 9784868161325)
目次|contents
サンベルナルド
訳者あとがき
著者|author
グラシリアノ・ハーモス(Graciliano Ramos)
1892–1953。ブラジル北東部アラゴアス州生まれ。20世紀のブラジル文学を代表する地方主義作家の1人であり、北東部を舞台に貧困・暴力・権力関係の中で生きる人間の内面を鋭い筆致で鮮やかに描いた。代表的な長篇小説に『サンベルナルド』(1934年)や『乾いた人びと』(1938年)の他、13の作品が収められている短篇集『不眠』(1947年)、共産主義者の嫌疑で投獄された経験を綴った回顧録『獄中記』(1953年、死後刊行)などがある。簡潔で緊張感のある文体や自己反省的な語りを特徴とし、ブラジル近代文学に与えた影響は計り知れない。
訳者|translators
岐部雅之(きべ・まさゆき)
京都外国語大学外国語学部ブラジルポルトガル語学科専任講師。専門はブラジル近現代文学。主な業績に、『ブラジル文学傑作短篇集』(水声社、2023年、編集・共訳)、論文「ブラジル北東部文学と抵抗する女性像―グラシリアノ・ハーモス著『サンベルナルド』から―」(『京都外国語大学ラテンアメリカ研究センター紀要』25号、2026年)、「パウロ・オノーリオの「声」を解剖する―グラシリアノ・ハーモス著『サンベルナルド』における翻訳の語りを巡って―」(『ブラジル研究』20号、大阪大学ブラジル研究会、2026年)がある。
フェリッペ・モッタ(Felipe MOTTA)
京都外国語大学外国語学部ブラジルポルトガル語学科専任講師。専門は移民史、特に日系ブラジル移民の越境経験と記憶の表象である。主な業績に、単著『移民が移民を考える―半田知雄と日系ブラジル社会の歴史叙述―』(大阪大学出版会、2022年)、共著『移民がむすぶ日本と南米の歴史―帝国・開発・官民協力―』(東京大学出版会、2025年)など。翻訳書に『移民の町 サンパウロの子どもたち』(ドラウジオ ヴァレーラ 著、行路社、2018年、監修)や『ブラジル文学傑作短篇集』(水声社、2023年、共訳)がある。
