
日本スポーツ界におけるアマチュアリズムの源流
大日本体育協会による近代スポーツ思想の受容と展開
- 根本想(著)/2025年2月
- 5000円(本体)/四六判上製358頁
- 装丁:長田年伸
なぜアマチュアでなければならなかったのか?
大日本体育協会が担った近代スポーツ思想の普及と制度化の過程を丹念にたどる。国際競技大会や政府の政策、さらには社会的要因が重層的に絡み合う中で、アマチュアリズムがどのように形成・変容していったのかを明らかにし、現代スポーツに通じる課題をも照射する。
(ISBN9784861109737)
目次|Contents
まえがき
序章 本書の目的と構成
第1節 問題の所在と本書の目的
第2節 先行研究の検討
第3節 本書の課題・方法・意義
第4節 本書の構成
第1章 競技者資格の形成および消失過程(第Ⅰ期)
第1節 大日本体育協会の設立と第Ⅰ期における財政状況
第2節 大日本体育協会による競技会の開催と競技者資格の形成
第3節 第8回オリンピック・パリ大会日本代表選手選考過程における競技者資格の適用
第4節 1925年の組織改造による独自の競技者資格の消失
第5節 第Ⅰ期における大日本体育協会でのアマチュアリズムの位置づけ
第2章 「アマチュアリズム堅持に関する声明書」の形成過程(第Ⅱ期)
第1節 第10回オリンピック・ロサンゼルス大会における日本代表選手団派遣費の捻出
第2節 日本代表選手団の強化と活躍
第3節 第10回オリンピック・ロサンゼルス大会における報道体制と大衆のオリンピックに対する関心の高まり
第4節 第Ⅱ期における大日本体育協会でのアマチュアリズムの位置づけ
第3章 改正寄附行為(1935年)の形成過程(第Ⅲ期)
第1節 日本運動競技連合の設立
第2節 日本運動競技連合におけるアマチュアリズムの位置づけ
第3節 1935年における寄附行為の改正
第4節 第Ⅲ期における大日本体育協会でのアマチュアリズムの位置づけ
終章 アマチュアリズムの形成過程が映す日本スポーツ界の課題
第1節 本書の総括
第2節 結論
補論1 アマチュア市民ランナーによる豊かなスポーツライフの実現過程
補論2 アマチュア競技者の競技引退後のキャリア形成――箱根駅伝に出場した大学教員を事例として
あとがき
引用・参考文献
初出一覧
人名索引
Summary
著者|Author
根本想(ねもと・そう)
育英大学教育学部講師。広島大学教育学部卒業。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士後期課程修了。博士(スポーツ科学)。早稲田大学オリンピック・パラリンピック教育研究センター研究員、育英短期大学現代コミュニケーション学科講師を経て2022年より現職。専門は体育思想史。主な著書・論文に、『広辞苑 第七版』(体育・スポーツ関連語句執筆、岩波書店、2018年)、『体育原理』(分担執筆、みらい、2023年)、「1920年代における武田千代三郎のアマチュアリズム観――大阪市立高等商業学校長時代の活動を中心に」『体育・スポーツ哲学研究』第38巻第1号、2016年、「メルクリアリス De Arte Gymnastica 第3巻第1章試訳」『育英大学研究紀要』第6号、2024年などがある。