
コロナ下での芸能実践
場とつながりのレジリエンス
- 吉田ゆか子、増野亜子(編)/2025年3月
- 3500円(本体)/A5判並製362頁
- 装丁:中本那由子
ウイルスの存在を前提とする状況は、音楽、舞踊、演劇などのパフォーミング・アーツにどんな影響を与えたのか? 世界各地の芸能実践者たちは、どのように応答したのか? そのような芸能の姿を通じて我々は、芸能や芸能する身体についての理解をどのように更新してゆけるか?
日本を含む東アジアと東南アジアの現場の記録と問いかけ
(ISBN 9784861109102)
目次|contents
序章 コロナ下と芸能研究 (吉田ゆか子)
第Ⅰ部 伝承の危機
第1章 コロナ状況で見えてきた日本の伝統芸能の新機軸 (前原恵美)
第2章 コロナを飼い慣らす――諏訪御柱祭2022 (鈴木正崇)
第Ⅱ部 場所と居場所
第3章 芸能の場所を維持する――コロナ下日本におけるインドネシア芸能の活動 (増野亜子)
第4章 ストリップ劇場の論理とCOVID-19―「本質的に不健全」な芸能の現場 (武藤大祐)
第Ⅲ部 学びを維持する
第5章 コロナ下での学校における音楽活動―教員へのインタビュー調査に基づく報告 (小塩さとみ)
エッセイ1 コロナ下、台湾の学校の伝統音楽クラブは如何にしてつながりを保ってきたか (長嶺亮子)
第Ⅳ部 拡大するつながり
第6章 パンデミック下のシンガポールにおける芸能をめぐるコミュニケーション(竹村嘉晃)
エッセイ2 カンボジアの大型影絵芝居「スバエク・トム」が作りだす空間、人のつながり―コロナ下での危機と日本からの支援を通して見えたこと (福富友子)
第Ⅴ部 新しい表現、新しい場所
第7章 家からつながる―ステイホーム期のバリ島におけるコメディ (吉田ゆか子)
第8章 COVID-19ショックと舞台芸術―代替を超えて、進化への期待 (大田美佐子)
エッセイ3 疫病退散の芸能化―新作能《アマビエ》の挑戦 (鈴木正崇)
索引
執筆者一覧
編者|editors
吉田ゆか子(よしだ・ゆかこ)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・准教授
専門は文化人類学
主な著作に『バリ島仮面舞踊劇の人類学:人とモノの織りなす芸能』(風響社、2016年)、「バリ島のコメディ劇における「障害」のある身体を巡る遊戯」(共著、山口真美、河野哲也、床呂郁哉編『コロナ時代の身体コミュニケーション』、勁草書房、2022年)、『東南アジアで学ぶ文化人類学』(共編著、昭和堂、2024年)。
増野亜子(ましの・あこ)
東京芸術大学・お茶の水女子大学・非常勤講師
専門は民族音楽学、音楽人類学
主な著作に、『民族音楽学12の視点』(音楽之友社、 2016年)、『声の世界を旅する』(音楽之友社、2014年)、「バリの歌舞劇アルジャにおける有形と無形:冠、身体、ストック・キャラクター」(『国立民族学博物館研究報告』46(2)、2021年)、『コンクール文化論:競技としての芸術・表現活動を問う』(共編著、青弓社、2024年)。