
モノからみた宗教の世界
- 八木百合子(編)/2025年3月
- 3500円(本体)/A5判並製310頁
- 装丁:コバヤシタケシ
産業化やグローバル化を背景に、日常のあらゆるモノが商品として大量に生産・消費されるなか、宗教的なモノの商品化もかつてないほど進んでいる。神々のイメージは、印刷物や彫像からデジタルメディアに置き換わり世界中に拡散・流通している――
モノそのもの、モノと人との関係から、現代の宗教世界の実相を捉える論集
(ISBN 9784868160069)
目次|contents
序章 モノをとおしてみる現代の宗教世界 八木百合子 [pp.7-33]
第一部 モノ/イメージの複製と聖性
第1章 フィリピンの聖画像崇敬にみるモノと聖性 古沢ゆりあ[pp.37-59]
第2章 「多文化共生」のシンボルとしての聖像―ベトナムから持ち込まれたキリスト像の例 野上恵美[pp.61-84]
第3章 観光と巡礼の町で生まれたアッシジ刺繍 笠井みぎわ[pp.85-111]
コラム1 人の道具と神の持ち物―弁才天の持物に注目して 鳥谷武史[pp.113-117]
第二部 モノの蓄積と処理
第4章 蓄積されるモノと聖性のありか―チベットの宗教実践の事例から 小西賢吾[pp.121-147]
第5章 イスラームの宗教実践におけるモノ―チュニジアにおけるクルアーンカレンダーの事例から 二ツ山達朗[pp.147-169]
第6章 聖像のゆくすえ―ペルーにおけるニーニョ像の継承をめぐる実践 八木百合子[pp.171-195]
第7章 トルコにおけるモスク寄進絨毯の今昔―ローカルな「篤志の標」の転生 田村うらら[pp.197-220]
コラム2 誰のものでもないモノ―人と風土をつなぐ講の掛け軸 小倉美恵子[pp.221-225]
第三部 モノと物質性の変化
第8章 モノがめぐり、神がめぐる―ガネーシャ祭における信仰実践の更新 福内千絵[pp.229-249]
第9章 呪いと祓いをカスタマイズする―ギニア・スス社会における宗教的なモノを例に 中川千草[pp.251-272]
第10章 「うたう」から「漂う」仏教音楽へ―電子念仏機を通して作られる音空間 長嶺亮子[pp.273-292]
コラム3 メキシコのブリキ絵 高木崇雄[pp.293-298]
あとがき
索引
執筆者一覧
編者|editor
八木 百合子(やぎ・ゆりこ)
国立民族学博物館グローバル現象研究部、総合研究大学院大学人類文化研究コース准教授
博士(文学)
文化人類学、アンデス研究
主な著作等 『アンデスの聖人信仰:人の移動が織りなす文化のダイナミズム』(臨川書店、2015年)、「聖母の奉納品にみるアンデス的意匠:クスコのアルムデナ教会の事例から」(青山和夫・米延仁志・坂井正人・鈴木紀編『古代アメリカの比較文明論:メソアメリカとアンデスの過去から現代まで』京都大学学術出版会、2018年)、Etnografía Andina: recorrido y valoración cultural (Senri Ethnological Studies No.111、編著、National Museum of Ethnology、2022年)。
お詫びと訂正
本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。
●26-27頁:「様々なに変化してきている」→「様々なかたちに変化してきている」