戦争をめぐる戦後沖縄文学の諸相

  • 柳井貴士(著)/2025年3月
  • 4000円(本体)/四六判上製356頁
  • 装丁:中本那由子

戦後80年、戦争体験は遠い他者の出来事として霧散するのか。
沖縄戦、アメリカによる土地の強制収用、朝鮮戦争、ベトナム戦争への出撃基地…。〈本土・ヤマト〉とは違う戦中・戦後史をもつ〈沖縄〉が経験した〈戦争〉とは?
文学作品を通して、戦争という出来事、戦争の〈記憶〉と対峙することのさまざまな在り方を分析し、考察する。
(ISBN 9784868160434)

目次|contents

序章 〈戦争〉をめぐる沖縄の戦後文学の研究にあたって
第一部 沖縄戦をめぐる文学的表象
第1章 古川成美『沖縄の最後』におけるテクストの変遷と戦場へのまなざし
    ――初出版の問題点と改訂版の差異をめぐって
第2章 古川成美『死生の門』におけるテクスト生成と作品企図
    ――「形容の脚色」を帯びた物語の行方
第3章 石野径一郎『ひめゆりの塔』論
    ――作品の周辺と内容をめぐって
第二部 米軍占領下の文学作品――大城立裕を中心に
第4章 峻立する五〇年代〈沖縄〉の文学
    ――大城立裕の文学形成と『琉大文学』の作用
第5章 大城立裕「棒兵隊」論
    ――沖縄戦をめぐる内部葛藤の物語
第6章 大城立裕「カクテル・パーティー」論
    ――沈黙をめぐる〈語り〉の位相変化
第三部 沖縄の米軍基地とベトナム戦争――又吉栄喜を中心に
第7章 又吉栄喜初期作品における〈少年〉をめぐって
    ――施政権返還後の沖縄文学の動向
第8章 又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」論
    ――〈模倣〉と〈承認〉による「米兵」化をめぐって
第9章 又吉栄喜「ターナーの耳」論
    ――〈耳〉をめぐる生者と死者の対話の可能性/不可能性
第四部 沖縄戦の記憶をめぐる文学作品――目取真俊を中心に
第10章 目取真俊「水滴」論
    ――〈共同体〉・〈記憶・〈水〉をめぐって
第11章 目取真俊「魂込め」論
    ――誤読される〈記憶〉の行方
第12章 目取真俊「伝令兵」論
    ――意味の空白・空白の記憶
終章

著者|Author

柳井 貴士(やない たかし)
1975年、栃木県生まれ。法政大学文学部、早稲田大学第一文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。国際交流基金客員研究員、蘭州大学外国語学院日本語学科講師を経て、現在、愛知淑徳大学創造表現学部准教授。専門は日本近現代文学。
主な論文に「明治期沖縄の散文小説をめぐる一断面——三面子「迷ひ心」論」(『国文学研究』2020・3)、「又吉栄喜「豚の報い」論——物語基点としての〈豚〉と変容する〈御嶽〉」(『昭和文学』2021・9)、「ゴジラが沖縄をめざすとき——円谷英二を遠く離れて」(『ユリイカ』2021・10)など。

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