
文化遺産としての巡礼路
熊野参詣道伊勢路の価値と活用
- 伊藤文彦(著)/2025年3月
- 5000円(本体)/A5判上製360頁(うちカラー16ページ)
- 装丁:矢萩多聞
価値の追体験を設計する
世界遺産登録から20年を迎えた熊野参詣道。近世、近代、現代と続いたこの巡礼路を歩いた人びとは、道中に何を体験し、それぞれどんな「価値」を見出してきたのだろうか。伊勢路(三重県)における価値認識の変遷をたどり、「活用」が求められるこれからの文化財保護へのヒントを探る。
(ISBN 9784861109898)
目次|contents
はじめに
序 章 文化遺産の活用をどのように考えるか
1 なぜ今、文化遺産の価値と活用を考えるのか
2 文化遺産の価値と活用
第Ⅰ章 文化遺産としての巡礼路
1 研究の背景
2 研究目的
3 既往研究からみる本研究の位置づけ
4 研究対象
5 熊野参詣道伊勢路の歴史的背景
6 熊野参詣道伊勢路の現況
7 本書の構成と方法
第Ⅱ章 近世の巡礼者からみた「熊野参詣道伊勢路」
1 熊野参詣道伊勢路の空間
2 熊野参詣道伊勢路沿道の礼拝施設と見所
3 近世の巡礼者が熊野参詣道伊勢路に見出した価値
第Ⅲ章 近世の地域住民からみた「熊野参詣道伊勢路」
1 はじめに
2 道標の定義
3 確認された近世にさかのぼる道標の状況
4 考古学的調査
5 碑文調査
6 近世の地域住民が「熊野参詣道伊勢路」に見出した価値
第Ⅳ章 近代以降の地域住民からみた「熊野参詣道伊勢路」
1 はじめに
2 道中日記と道中案内からみた巡礼の変化
3 石仏庵
4 荒神堂
5 清水寺
6 近代以降の地域住民が「熊野参詣道伊勢路」に見出した価値
第Ⅴ章 現代の研究者からみた「熊野参詣道伊勢路」
1 はじめに
2 熊野参詣道の位置づけと内容
3 国史跡「熊野参詣道」として見出した価値
4 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」として見出した価値
5 現代の研究者が「熊野参詣道伊勢路」に見出した価値
第Ⅵ章 現代の行政、地域住民、観光者からみた「熊野参詣道伊勢路」
1 はじめに
2 文化遺産保護行政が保護対象とする文化遺産「熊野参詣道伊勢路」の空間と諸要素
3 行政・地域住民がともに行う管理運営
4 現代の観光者による観光行動
5 行政が設置したガイダンス施設による事業
6 現代の観光者や地域住民、行政が「熊野参詣道伊勢路」に見出した価値
終 章 巡礼路に対する価値認識の変遷
1 巡礼路に対する価値の認識モデル
2 巡礼路に対する価値認識の変遷
3 文化遺産の保護に関する評価
4 主観的価値に基づく活用の構築
5 文化遺産の価値と活用~活用の方法論の深化~
おわりに
初出一覧
図表一覧
索引
著者|author
伊藤文彦(いとう・ふみひこ)
1976年大阪生まれ。三重県文化財専門職員。大阪大学文学部人文学科考古学専修卒業、筑波大学大学院世界文化遺産学専攻修了、博士(世界遺産学)。国際記念物遺跡会議(ICOMOS)文化の道国際科学委員会委員。専門は世界遺産学・造園学・考古学。
主な著書に、『熊野古道伊勢路を歩く~熊野参詣道伊勢路巡礼~』(サンライズ出版、2015年)、『街道今昔 三重の街道をゆく』(共著、風媒社、2023年)ほか。