アメリカ人の生活と学校カリキュラム
生活に根差した学校に向けての次のステップ
- ハロルド・O・ラッグ(著)、渡部竜也・斉藤仁一朗・堀田諭・桑原敏典(訳)/2018年10月
- 6000円(本体)/A5判上製502頁
- 装丁:矢萩多聞
変化する多様な社会の中で、学び手の創造性が活きる相互的な学び方とは?
相互理解と健全な社会形成のためには、関係に基づく個々人の主体的・創造的な活動と、社会と文化を理解することこそが教育の過程に求められる。その統合的な理念を教育の道標であるカリキュラムに具現化することで、新たな教育を位置づけその方向を見据える。
J・デューイと同時期の米国の社会科教育のパイオニアによる代表作を全訳。
(ISBN 9784861106026)
目次|contents
訳者まえがき(渡部竜也)
まえがき
前編 第一次産業社会期の教育
第Ⅰ部 学校と社会
第1章 教育とアメリカ人の生活のドラマ
第2章 カリキュラムと人民の文化
第Ⅱ部 近代工業民主主義の文化
第3章 新たな産業社会の台頭
第4章 ヨーロッパ人が北アメリカを征服した
第5章 アメリカ人の心(思考)についての心理学
第Ⅲ部 機械化時代の学校
第6章 アメリカ学年制学校の誕生
第7章 学年制学校のカリキュラム――いかにそれは発展したのか
第8章 学年制学校とカリキュラム――批判的評価
第Ⅳ部 教育改革――再整理であって、決して改造ではない
第9章 行政による学科カリキュラムのいじくりまわし
第10章 カリキュラムの構成と教育の科学的研究
第11章 回顧――カリキュラム作成の1世紀
後編 新しい社会秩序における教育
第Ⅰ部 大転換期の教育改造
第12章 大転換期
第13章 新教育に向けた新しい概念
第14章 アメリカにおける児童中心教育の始まり
第Ⅱ部 新教育のための新しい心理学
第15章 民主主義の展望――多様で協働的な個人たち
第16章 個人と文化――社会心理学
第17章 学校と文化――論争問題
第18章 合意の心理学――民主主義と思考
第Ⅲ部 生活に根差した学校に向けての次のステップ
第19章 新しい教育プログラム――活動・教科・教科内容
第20章 生活に根差した学校に向けての次のステップ
第21章 全体としての学校生活――カリキュラムの中心
第22章 教育の基盤としての身体の学習に向けたはしがき
第23章 人間とその変化する社会の研究――新しい社会科学教育
第24章 創作活動をする芸術家としての人間
第25章 社会的趨勢に見られる3つの曲線――教育と社会改造
推薦図書
【付録①】私たちはどのように社会科カリキュラムを改造するべきか?――『市民性教育に向けた歴史学と教育学の協力委員会報告書』に例証される委員会手続きについてヘンリー・ジョンソン教授宛ての公開書簡(1921年)
【付録②】社会科の再建について――シェーファー氏の書簡への返答(1921年)
【訳者解説】
ハロルド・ラッグのカリキュラム観に内在する専門家主義という両義性――カリキュラム作成者と教師の位置づけに注目して(斉藤仁一朗)
ラッグらはなぜ教科教育専門の常設委員会の創設を必要としたのか?――「科学的」と「客観的」の意味(堀田諭)
【特別寄稿】教育改造へのステップ(溝上泰)
著訳者略歴
著者| author
ハロルド・O・ラッグ(Harold Ordway Rugg)
1886年マサチューセッツ州生まれ。1908年に理学士の学位を取得後、ダートマス・カレッジのセノア・スクールで土木工学の学士を取得。鉄道測量士やジェームス・ミリケン大学での土木工学のインストラクターを経た後、1915年にイリノイ大学で博士号を取得。1920年にコロンビア大学ティーチャーズ・カレッジの准教授に就任。1924年に同大学教授。社会科カリキュラム教材 “Man and his Changing Society” を執筆し、世界で最初に体系的な主権者教育カリキュラムを作ったことで知られる。
訳者| translators
渡部竜也(わたなべ・たつや)
東京学芸大学教育学部准教授。広島大学大学院教育学研究科博士課程後期修了。博士(教育学)。専門は社会科教育学、授業設計論、教師教育、社会改造主義教育論研究。
斉藤仁一朗(さいとう・じんいちろう)
東海大学課程資格教育センター講師。東北大学大学院教育学研究科後期課程修了。博士(教育学)。専門は社会科教育学、カリキュラム論、米国社会科教育史。
堀田諭(ほりた・さとる)
東京大学大学院教育学研究科特任研究員。東京大学大学院教育学研究科博士後期課程満期退学。専門は社会科教育、カリキュラム論、教師教育。
桑原敏典(くわばら・としのり)
岡山大学大学院教育学研究科教授。広島大学大学院教育学研究科博士課程前期修了。博士(教育学)。専門は社会科教育学、公民教育論、主権者教育論。