幻想と怪奇の英文学IV
変幻自在編
- 東雅夫、下楠昌哉(責任編集)/2020年9月
- 3000円(本体)/四六判上製468頁
- 装丁:矢萩多聞
- 装画:Richard Dadd
気鋭の英文学者らが論じた幻想文学の本格的な研究・批評の集成、第4弾!
〈ゴシック〉理論のベースともいえる、A・L・バーボールドの崇高恐怖論とその実作「サー・バートランド」の翻訳も収録。
(ISBN 9784861106996)
目次|contents
前口上【東雅夫】
第Ⅰ部:怪獣大進撃
「植物する」(plant doing)ということ―ジョン・ウィンダム『トリフィドの日』、その可能性の中心へ【遠藤徹】
洞窟のなかの幻想の怪物―初期恐竜・古生物文学の形式と諸特徴【南谷奉良】
マンティコア変奏曲―実在と幻想の狭間【大沼由布】
第Ⅱ部:英国ゴシックの矜持
アナ・リティティア・エイキン「恐怖の諸対象を起源とする快楽について。断片作品『サー・バートランド』を付して」訳【下楠昌哉】
怪奇小説『メルモス』における結婚のメタファーと〈生〉の修辞学(レトリック)【小川公代】
『マンク』における二つのプロットと世界史的背景【市川純】
モノ語るゴシック―『オトラント城』と『ドリアン・グレイの肖像』に見る物質性【日臺晴子】
「幽霊のキャサリン」と奪われた肖像―新しいゴシック小説としての『嵐が丘』【金谷益道】
第Ⅲ部:ヴィクトリアン・ゴースト・ストーリーを越えて
E・F・ベンスン、拡散と転覆のオブセッション―「塔の中の部屋」および「アムワース夫人」を中心に【岡和田晃】
「萎えた腕」に掴まれるとき 痣(マーク) ―しるしは別のことを問い告げる【石井有希子】
亡霊は二度窓を叩く―ジェイムズ・ジョイス「死者たち」における歓待と寛大【小林広直】
『窓ガラスの言葉』に書かれた読めないメッセージ【岩田美喜】
語り手はもう死んでいる―カズオ・イシグロ「ある家族の夕餉」の怪奇性【田多良俊樹】
ロバート・M・パーシグ『禅とオートバイ修理技術』における幽霊の隠喩と文学的想像力【深谷公宣】
第Ⅳ部:罪・妄執・狂気
アーサー王伝説における騎士と狂気【小宮真樹子】
幾重もの語りの内側にあるもの―罪食いの伝承とフィオナ・マクラウドの「罪食い人」をめぐって【有元志保】
緑深き原生林へ―マリー・コレリ『復讐――忘れられた男の物語』における自然回帰【桐山恵子】
「死への衝動(ドライブ)」―ミュリエル・スパークの終末観【高橋路子】
対談―またしても解説に代えて【東雅夫×下楠昌哉】
執筆者紹介(東雅夫によるメール・インタビュー)
あとがき【下楠昌哉】
人名索引
編者|editors
東雅夫(ひがし・まさお)
神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。元『幻想文学』編集長、現『幽』編集顧問。
著作に、『遠野物語と怪談の時代』(角川選書、第64回日本推理作家協会賞受賞)、『なぜ怪談は百年ごとに流行るのか』(学研新書)、『文学の極意は怪談である―文豪怪談の世界』(筑摩書房)、『日本幻想文学大全』『世界幻想文学大全』(編著、ともに全三冊、ちくま文庫)など。
下楠昌哉(しもくす・まさや)
東京都生まれ。同志社大学文学部教授、博士(文学)。
著作に、Vampiric: Tales of Blood and Roses from Japan(共著、Kurodahan Press)、『妖精のアイルランド―「取り替え子」の文学史』(平凡社新書)、『良心学入門』(共著、岩波書店)、訳書にマクドナルド『旋舞の千年都市』(東京創元社)、ゴードン『吸血鬼の英文法』(彩流社)、『クリス・ボルディック選 ゴシック短編小説集』(共訳、春風社)など。