最強の男
三国志を知るために
- 竹内真彦(著)/2020年9月
- 2000円(本体)/四六判並製280頁
- 装丁・レイアウト:桂川潤
正史から『平話』、雑劇、『演義』へと変化する中で、『三国志』が物語世界へと収斂していく様を、武将・呂布の描写を中心に考察する。
(ISBN 9784861107023)
目次|contents
序(附:凡例)
第一章 呂布
呂布の略歴/何故、呂布なのか?/史書における呂布の武勇の評価/何に拠って呂布の物語を辿るのか?/十八路諸侯/孫堅/関雲長斬華雄/三戦呂布/「最強」呂布の誕生
【コラム】 1姓名字 2暦 3行政区分
第二章 貂蟬
董卓の侍女/董卓の最期/司徒王允/涼州対幷州/王允の最期/物語における「因」と「果」/貂蟬の「機能」/第十五則「司徒王允説貂蟬」/第十六則「鳳儀亭呂布戯貂蟬」/第十七則「王允定計誅董卓」/第十八則「李傕郭汜寇長安」/貂蟬の最期/『演義』以前の貂蟬/高橋繁樹「『連環計』の虚構」について/「錦雲堂美女連環記」雜劇/「連環記」と「連環計」/息機子本と『元曲選』/「才子」呂布/貂蟬の物語の変遷/貂蟬の年齢
第三章 赤兎馬
人中の呂布、馬忠の赤兎/関羽と赤兎馬/『平話』の赤兎馬/『花関索伝』の赤兎馬/胭脂馬/関元帥/呂布と赤兎馬/呂布の最期/劉備と的盧/英雄と馬/「不義」なる「最強」/「剣神」の死/「史実」と「伝説」と
【コラム】 4干支 5五行説
第四章 李粛
方天戟/薛仁貴/李粛と葛蘇文/史書の李粛/史書の葛蘇文/李粛と薛仁貴/葛蘇文と呂布/呂方と郭盛/英雄の「祖型」/転生する英雄/残る疑問
第五章 再び呂布
呂布の装束/呂布以外の例/呂布の図像/三叉束髪紫金冠/束髪冠と紫金冠/賈宝玉/父殺しの貴公子/殷元帥/旅の終着点
【コラム】 6八健将
附章一 陳寿と裴松之
現代日本における正史/正史の体裁=紀伝体/遡る時系列/再読する読者/本文の撰者 陳寿/陳寿への非難/陳寿の諸葛亮評/陳寿の非難される理由/陳寿の記録できなかったこと/曹操の体格/正閏論/「紀」と「伝」/「崩」/「薨」/「殂」/「帝」と「主」/孫堅の出自/曹操の出自/劉備の出自/裴松之註の成立/裴松之註の形式/裴松之の警鐘/史家の覚悟/一次史料の問題
【コラム】 7廟号と諡号 8『資治通鑑』と『資治通鑑綱目』 9『三国志平話』 10雜劇 11『花関索伝』
附章二 羅貫中と毛宗崗
「演義」の意味/作者の不在/羅貫中の伝記/『演義』の成立年代/『演義』の系統/関羽の呼称/羅貫中にサヨナラを/毛宗崗/百二十回本/李卓吾/回目の改変/曹操の初登場/四大奇書/毛本が通行本となった理由
参考文献一覧
初出一覧
跋
[巻末附録]三国志 略年表・正史『三国志』目録一覧・『三国志演義』回目
著者|author
竹内真彦(たけうち・まさひこ)
1971年、静岡県生まれ。神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。2001年より龍谷大学経済学部講師、同助教授・准教授を経て、現在は教授。専門は『三国志演義』に関する文献研究。