教育のリーダーシップとハンナ・アーレント

  • ヘレン・M・ガンター(著)、末松裕基・生澤繁樹・橋本憲幸(訳)/2020年12月
  • 3000円(本体)/四六判上製368頁
  • 装丁:桂川潤

指導すること=他者と関わり何かを始めることは、いまでも何らかの意味を有しているか――
英国の公教育における政策・経営の現代化改革がもたらした、全体主義的な影響を検討。擬制のなかで無自覚に行なわれうる受動的・均質的な思考をしりぞけ、学校・組織・政治と私たちの間にある関係、教育をめぐる〈活動〉の過程と意味を探る。
(ISBN 9784861107047)

目次|contents

凡例
略語一覧
日本語版序文
シリーズ序文
謝辞

第1章 ハンナ・アーレントを取り入れる
はじめに/ハンナ・アーレント/ハンナ・アーレントを読み、ともに思考する/本書の意義

第2章 ハンナ・アーレントとELMAの研究および実践
はじめに/ELMAと社会科学/アーレントとともに思考する――ELMAにとっての意義/アーレントの歴史的・政治的思考――ELMAにとっての意義

第3章 アーレントを使ってELMAについて思考する――政治と全体主義
はじめに/教育、教育、教育/全体主義の政治/全面的なリーダーシップ

第4章 アーレントを使ってELMAについて思考する――〈活動的生〉
はじめに/〈労働〉/〈仕事〉/〈活動〉/〈活動的生〉

第5章 アーレントを使ってELMAについて思考する――〈観照的生〉(デイヴィッド・ホールとの共同執筆)
はじめに/悪の凡庸さ/リーダーシップの凡庸さ/分散型リーダーシップの凡庸さ

第6章 アーレントとともに/抗して思考する
はじめに/アーレントとともに思考する/ジェンダーという課題/社会的なるものとともに思考する/「ブーメラン論」とともに思考する/一時休止

文献案内
訳注
訳者あとがき
文献一覧
索引
著訳者紹介

著者|author

ヘレン・M・ガンター(Helen M. Gunter)
英国マンチェスター大学教授。専門は教育政策学、教育経営学。社会学、政治学、歴史学の視点から教育のリーダーシップや統治、教師の力量形成といった教育経営の現代的課題とともに教育経営の理論史について研究を行なっている。著書に『教育を再考する――ジュラシック・マネジメントの帰結』(1997年)、『教育におけるリーダーとリーダーシップ』(2001年)、『リーダーシップと教育改革』(2012年)、『スクールリーダーシップの実践・研究の思想史』(2016年)、『公教育の政治学――改革の理念と課題』(2018年)、編著に『ニュー・パブリック・マネジメントと教育改革』(2016年)、『ハンナ・アーレント 暗い時代における教育的思考と実践――危機にある世界のための教育』(2020年)など(いずれも未邦訳)。

訳者|translators

末松裕基(すえまつ・ひろき)
東京学芸大学教育学部准教授。専門は学校経営学。主な著書・論文に『現代の学校を読み解く――学校の現在地と教育の未来』(春風社、2016年、編著)、『教育経営論』(学文社、2017年、編著)、“Finding Alternatives and/or Following Global Trends for School Leaders? Reflection of Educational Management in Japan”(Journal of the International Society for Teacher Education, Vol. 22, No. 1, 2018, 共著)。

生澤繁樹(いざわ・しげき)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。専門は教育哲学、教育思想史。主な著書に『共同体による自己形成――教育と政治のプラグマティズムへ』(春風社、2019年)、『民主主義と教育の再創造――デューイ研究の未来へ』(勁草書房、2020年、共著)、『政治において正しいとはどういうことか――ポスト基礎付け主義と規範の行方』(勁草書房、2019年、共著)。

橋本憲幸(はしもと・のりゆき)
山梨県立大学国際政策学部准教授。専門は国際教育開発論、教育哲学。主な著書・論文に『教育と他者――非対称性の倫理に向けて』(春風社、2018年、日本比較教育学会平塚賞、国際開発学会奨励賞受賞)、「国際教育開発論の思想課題と批判様式――文化帝国主義と新自由主義の理論的超克」(『教育学研究』第86巻第4号、日本教育学会、2019年)、「教育はグローバル・ガバナンスを統御できるか――国際教育開発の理論的外部」(『国際開発研究』第25巻第1・2号、国際開発学会、2016年)。

この本を注文する

Amazonで注文する e-honで注文する 楽天ブックスで注文する