インド・剥き出しの世界

  • 田中雅一、石井美保、山本達也 (編)/2021年3月
  • 4800円(本体)/A5判並製456頁
  • 装丁:矢萩多聞

身体、暴力、国家――南アジア世界の〈闇〉とつながりへの希求
文化人類学者たちが〈剥き出しの生〉を現場から描いた、15章+6つのコラム。
人びとが日常的に、またさまざまな事件や事故を通じて文化的・社会的属性を剥奪されて生きざるをえない状況に注目しながらも、グローバルな観点を失うことなく、そこから南アジア世界の強靭な生活世界とその多様性について論じる。
「愛がなければ、無に等しい」(コリントの使徒への手紙13章)
(ISBN 9784861106651)

書評が『図書新聞』に掲載されました
書評が『文化人類学』に掲載されました
書評が『南アジア研究』に掲載されました
書評が『アジア・アフリカ地域研究』に掲載されました

 

目次|contents

序章 インド・剥き出しの世界にむけて(田中雅一)

第一部 人生とジェンダー
第1章 日常世界における被傷性―リプロダクションの管理としての人工妊娠中絶(松尾瑞穂)
第2章 子どもの生は誰が守るのか―バングラデシュの共同体の狭間で生きる子どもたち(南出和余)
第3章 〈剥き出しの生〉が媒介する共同性―スリランカの老人居住施設における老いと看取りの現場から考える(中村沙絵)
コラム 病死か自死か他殺か ―ネパール農村社会における死の受容と語りの揺らぎ(安念真衣子)
第4章 殺人という特権 ―パキスタンの名誉殺人(サイード・フォージア)(訳/和崎聖日)
コラム 守られる名誉、消費される名誉(須永恵美子)
第5章 女性への暴力、売春、デーヴァダーシー(田中雅一)
コラム 君の名は ―ヒジュラの受難、国家の混乱(山崎浩平)

第二部 集合的暴力と差別
第6章 「まなざし」を超えて ―「不可触民」をめぐる暴力の位相(舟橋健太)
コラム 階層間関係の不安定化 ―インド北部・スピティ渓谷の階層制リグ(中屋敷千尋)
第7章 流動化する暴力とヒンドゥー・ナショナリズム(石井美保)
第8章 災害復興と宗教的マイノリティ―二〇〇一年インド西部地震の事例より(金谷美和)
第9章 剥き出しの屠りと匿名的な屠畜者たち―現代ブータンにみる屠畜規制と拡大する放生実践(宮本万里)
第10章 ネパール・チトワンにおける森林伐採事件―例外状態としての森林と先住民チェパン(橘健一)
コラム カースト・カテゴリーの境界を生きるということ(岩谷彩子)

第三部 国家と紛争
第11章 戦争犯罪者をめぐる今日の歴史問題―バングラデシュの独立戦争と国際戦争犯罪法廷の裁判記録から(外川昌彦)
第12章 暴力と忘却 ―ネパール内戦下の生活と死者、強制失踪者(藤倉達郎)
第13章 かけがえのない死を悼む―内戦後のスリランカ東沿岸部タミル村落の事例から(菊池真理)
第14章 性暴力に抗して―メイテイ女性による「裸の抗議」(木村真希子)
第15章 暴力を目の前にした難民の苦境を考える―インド在住チベット難民と焼身自殺(山本達也)
コラム 踊り子たちの「結婚」事情(飯田玲子)

編者|editors

田中雅一(たなか・まさかず)
国際ファッション専門職大学国際ファッション学部教授。文化人類学、ジェンダー・セクシュアリティ研究。『誘惑する文化人類学』(世界思想社、2018年)、『南アジア社会を学ぶ人のために』(共編著、世界思想社、2010年)、『供犠世界の変貌―南アジアの歴史人類学』(法藏館、2002年)など。

石井美保(いしい・みほ)
京都大学人文科学研究所准教授。文化人類学。『文化人類学の思考法』(共編著、世界思想社、2019年)、『めぐりながれるものの人類学』(青土社、2019年)、『環世界の人類学―南インドにおける野生・近代・神霊祭祀』(京都大学学術出版会、2017年)など。

山本達也(やまもと・たつや)
静岡大学人文社会科学部准教授。文化人類学。『ようこそ南アジア世界へ』(共著、昭和堂、2020年)、Law and Democracy in Contemporary India: Constitution, Contact Zone, and Performing Rights(共編著、Palgrave Macmillan、2019年)、『舞台の上の難民—チベット難民芸能集団の民族誌』(法蔵館、2013年)など。

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